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1月30日(月)〜2月3日(金)
今週は台東区入谷のガラスペン職人・佐瀬勇さんを訪ねました。
ガラスペンは明治35年、北区滝野川の風鈴職人・佐々木定次郎さんが発明した筆記用具です。ペン先に一度インクをつけると、ハガキー枚程度書けるので、万年筆やボールペンが登場するまでは、とてもポピュラーな筆記用具だったそうです。
普通ガラスペンといえばペン先だけがガラス製で軸は竹や木のものですが、佐瀬さんが作るガラスペンはすべてガラス製です。このガラスペン誕生の経緯は、なんともイロニカルなものです。
「オイルショックで材料が手に入らなくなって、うちでは組合の役員をやってたものだから、材料あつめに奔走してみんなに分配してたんですよ。いい材料から選んでいくでしょ。うちに使い道が少ない材料がたくさん残ったんですよ。ガラスペンは過去の遺物みたいな感じになってきたし、この材料使い切ったら工房をたたもう、と考えていたんです。
ガラスペンはペン先だけガラスですから、使うガラスは3センチぐらいなので、なかなか減りませんよね。そこで、全部ガラスなら1本で20センチ以上使うので…これは良い考えだ!と試作してみたんです。(それで大ヒット!?)
世の中そうそう甘くはないですよ。もろいんじゃないの?すぐ割れるんじゃないの?というイメージが先に立って問屋さんが扱ってくれない。実際はかなり強いんですよ。なんとかメーカーさんの下請仕事などをして工房を続けてまして、それから…ずいぶん後のことです。平成8年かな。ある雑誌が"取材ついで"に"こんなガラスペンもあるんですよ"と紹介してくれまして売れるようになったんです」
ガラス棒の両端を持って、一定のスピードでクルクル回し続けながらガラスを溶かしてねじる技。かなり難しそうです。皮の指あてを付けて作業するんですが、溶けたガラスを直に触っているのとほとんど同じで、太い品物を作るときは爪の内側まで火傷してしまうそうです。指先に集中しないとできない作業ですが、昔の職人さんは、足踏みふいご式の石油バーナーを使っていたんだそうです。今では電動コンプレッサーを使っているので足を動かす必要はありませんが、佐瀬さんは仕事が忙しくなってくると、足踏みの癖が出てしまうそうで、「これは一生なおらないなあ〜」とおっしゃっていました。
佐瀬さんが作るガラスペンは色とりどり、軸の太さも、細いものから太い物まで様々です。
購入の際のアドバイス:手になじむ太さのものを選ぶ。同じ太さでも書き味が1本ごとに違うので、試し書きができればベターです。佐瀬さんの工房を直接訪ねて釆る方も多いそうで、その際は、たくさんの品物の中から選んでもらうようにしているそうです。
佐瀬工業所 http://www7.ocn.ne.jp/~glasspen/
電話番号 03−3873−1564
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