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PART2 東京散歩 ラジグライブニング
ONAIR REPORT
12月5日(月)〜12月9日(金)
今週は葛飾区の唐木細工職人、土倉昭夫さんを訪ねました。
土倉さんは昭和17年・浅草生まれ。師匠であるお父様の技を継いだ2代目。
現在、唐木細工の職人さんは全国では約200人、東京には5〜6人しかいないそうです。
「唐木細工」は一言で言えば、黒檀・紫檀・花梨、鉄刀木(たがやさん)など東南アジア原産の珍しい木を使った指物・細工物のことです。奈良時代に遣唐使によって製品が持ち込まれ、江戸時代には材料木が輸入されるようになり、宮中や大名、豪商に支えられて、国内でも盛んに作られるようになりました。江戸時代はとても材料が高価だったので、薬の問屋さんで扱われていて、薬と同じ重さの単位 “1斤(きん)いくら” で売られていたそうです。
それぞれ硬い木で、磨けば磨くほど金属のような光沢がでます。和楽器の材料、茶道具、扇子、ブラシの柄、装飾品など、落ち着いた贅沢な雰囲気の道具には打ってつけの材料です。しかし、とにかく硬くて重く、扱うにも独特の技が要ります。道具類も専用で、例えばカンナの刃は “ほぼ直角” に立っていて、鰹節のように薄くしか削れません。削ると板面が毛羽だってしまい、なかなか滑らかに仕上がらないそうです。じっくり時間と手間をかけ仕上げられた製品にはどんなに小さな物でも “重厚感” があります。

土倉さんの工房に、弟子になりたい方も多く訪ねてくるそうです。
これまで10人以上の方を弟子に迎えたそうですが、ものになったのは「0」。
「この子は器用だし、センスもいいし、ものになるんじゃないかなぁ」と期待しても…。土倉さん、何度も気落ちしてしまったそうです。

若い人に何かを教えると、必ずといっていいほど「もっと簡単に 効率的にやる方法」を考えるんだそうです。土倉さんにもそんな時期があったとおっしゃっていましたが…50年近く唐木の仕事をしてきて、つくづく感じるのは、師匠である父親が時間をかけて丁寧に取り組んでいた仕事の素晴らしさ。
やはりものづくりの基本は「手作り」なんだそうです。楽する方法はないんですね。
趣味のいいお客さんからの注文で、昔ながらの「茶道具入れ」や「硯箱」などを伝統的な手法で作っていますが、一方で、新しいアイディアのものにも意欲的に取り組まれています。青山骨董通りにあるアンジェノワールというインテリアショップでは、デザイナーがデザインして土倉さんが形にした製品を販売しています。

「昔と同じ物作ってても売れるわけないよね。技術と材料は自分のもので、デザインは時代の最先端の人。そういうのをドンドンやっていきたい。デザイナーが考えた作品は、自分で作っててカッコいいと思うよ。黒檀で小物箱作ってさ、その上にヘビの皮貼っちゃったりするんだよね。そういう感覚って職人にはないからね、シビレるよね。」
また、前々回の東京モーターショーに出品された日産のコンセプトカー「時空」のフロアパネルやインパネ、トランクのなかの収納ボックスなどは、土倉さんの唐木細工で仕上げられていたそうです。
土倉さんは、なんとも “新しいこと・斬新なこと” に貪欲な唐木細工職人でした。

土倉木工所 http://www.tsuchikura-mokkougei.com/
電話番号 03−3606−5640












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