「医療と福祉の連携~イギリスに学ぶ」

番組制作担当の塚本です。

患者の困りごとを聞き取った眼科医が、その患者をどのようにして福祉の援助が受けられるようにつないでいくのか。

その一つのケーススタデイとして、昨日は山梨県甲斐市の田辺眼科の取り組みを紹介しました。

日本視覚障害者団体連合の調査によると、視覚障害の当事者が日常生活や社会生活に必要な情報を得るまでに、5年間以上かかっているとされています。

この期間をもっと短縮することは出来ないのでしょうか。

昨日も紹介した「失明の可能性の告知を受けた人の早期相談支援体制の構築に向けた調査研究」の報告書には、イギリスのECLO(エクロ)と呼ばれる人たちの存在が紹介されています。

イギリスでは、失明の可能性を告知する際に、ECLO(眼科連携職員)が同席し、当事者の心のケアと福祉、教育、就労支援への移行を手助けする制度が確立されています。

その具体的な役割としては

1)医師の診断内容を平易な言葉で患者に伝える

2)患者が求める社会資源に結び付ける

3)患者の感情的な支援を行う

4)患者が治療を受けながら自己管理できるよう支援する

5)患者が地域で自立した生活を送ることが出来るよう必要な情報を提供するとともに、自分で選択し決断できるよう後押しする

という五項目が挙げられています。

このようにECLO(エクロ)は、医療と福祉を結び付ける専門家であり、現在、イギリス国内で活動しているECLO(エクロ)の約半数は視覚障害の当事者が担っているということです。