「視覚障害者のタクシーでの困りごと」

番組制作担当の塚本です。

視覚障害の方々にとって、移動の足をどのように確保するかは重要な問題です。

運転手不足から、バス路線の廃止が目立つ中で、タクシーを利用するケースが、今後増えることが予想されます。

1月21日(日)に全日本視覚障害者協議会が、タクシーをテーマにしたオンライン集会を開き、全国から60名余りが参加しました。

このオンライン集会で議論されたポイントを幾つか紹介します。

先ず、身近な公共交通機関である鉄道路線は、この30年間で1431kmが廃止され、バス路線はこの10年間で16061kmに及ぶ路線が廃止され、交通の空白地が増大しています。

人が生きていくうえで欠かせないものとして、「衣食住」が挙げられますが、視覚障害者にとっては、「交住食医」が欠かせないという指摘がありました。

これは、交通・住宅・食事・医療が視覚障害者の生活の根幹をなすという意味でしょう。

次に、視覚障害者がタクシーを利用するときのトラブル事例としては、タクシーを降りた時が、最も問題が多いとの事です。

例えばタクシーを道路端ギリギリの所に停められたため、誤って「どぶ川に落ちた」「田んぼに落ちた」などのケースもありました。

病院の前で降ろされても、入り口がどこにあるのか分からないので、方向を指示して欲しいという声もあるようです。

また、今年4月からタクシー業界に導入されるライドシェアについては、強い異論が出されました。

ライドシェアとは、これ迄、2種免許を持っている人しかタクシーの運転手になることは出来ませんでしたが、今後は1種免許しか持っていない人が、自家用車を使って乗客を乗せ、運賃をもらうことが出来るようになるというものです。

こうした自家用車の管理はタクシー会社が行い、配車はアプリで管理するという事ですが、視覚障害者にとっては、アプリは極めて操作しにくいようです。

ライドシェアの解禁よりは、NPO法人など営利を目的としない団体が、障害者や高齢者を対象に運行する福祉有償タクシーが増えることを望む声もあるようです。