「視覚障害者の雇用改善への道」

番組制作担当の塚本です。

視覚障害者の方々の就労の場をより増やし、雇用状況を改善するために何が求められているのか。

昨日に引き続いて、「全国視覚障害者雇用促進連絡会」の田中章治さんの話しを紹介します。

田中さんご自身も視覚障害者で、今は仕事からはリタイアされていますが、振り返ってみて就職するまでは紆余曲折がありました。

大学で福祉を学びましたがなかなか仕事を見つけることは出来ませんでした。

都庁で働きたいと考えていましたが、当時(美濃部都政)の東京都は点字での受験を、まだ認めていませんでした。

やむを得ず、「あんま はり きゅう」のいわゆる「あはき」の資格を持っていたので、いったん函館で「あはき」の仕事につきました。

大学の恩師が2年間かけて、都庁に点字での受験を認めるよう働きかけた結果、点字受験の合格者第一号として、田中さんは都庁に採用され、都立中央図書館で働くことになったという事です。

今後、視覚障害者の雇用を増やすために田中さんは、「まず視覚障害の当事者が働きたいという気持ちを強くアピールすることが必要で、それなりのスキルも求められる。特に通勤の安全を確保できるという能力、職場でのコミュニケーション能力が必要となる」と話しています。

また、行政に対しては、点字での採用試験の門戸を全ての自治体が開いて欲しいと要望し、更に民間企業に対しては、障害者が職場で働きやすい環境を整備する合理的配慮が、今年4月から義務化されることを踏まえ、「音声パソコン、拡大読書器の配備などの合理的配慮がなされないと、視覚障害者はその能力を十分に発揮できない」と訴えていました。