「光をみつける~全盲のバイオリニストからのメッセージ」

番組制作担当の塚本です。

視覚障害のある音楽家は少なからずおられると思いますが、その一人に穴澤雄介さんという方がいらっしゃいます。

穴澤さんはNHKで「視覚障害ナビラジオ」という番組にも出演されており、ご存知の方も多いのではないかと思います。

穴澤さんが昨年出版された「光をみつける」という本を、最近読む機会がありました。

穴澤さんは生まれつき心臓と目に障害があり、筑波大学付属盲学校高等部音楽科に在学中に失明します。

「なぜ、音楽家の道を選ばれたのですか」という問いに対する答えとして、穴澤さんは、「そもそも視力低下やその後の様々な状況の中で、音楽が唯一の仕事。収入を得るために残された最後の手段でした。ほかの選択肢など全くありませんでした」と記しています。

よく周囲のひとから「やることが早いね」と言われる事が大変多いそうですが、それについては「実際の行動が開始されてからのスピードでは、(健常者に)勝ち目が無いからこそ、思いついてから行動に移すまでのスピードでは、誰にも負けないように心掛けている」という事です。
直観力と決断力は、穴澤さんの中ではセットになっているとしています。

障害者にとっては、発想の転換が必要であり、「勝負のルールを独自に作る」「チャレンジに手遅れはない」というメッセージを発しておられるようです。

「不可能を可能にするのではなく、不可能が新たな可能性を生むという確信を根底から得た」とも記しています。

読んでいて、その歯切れの良さを心地よく感じる一冊でした。点字データ、音声デイジーなども作成中との事です。書籍は「ぱるす出版」から出されています。