「安全な歩行のために」

番組制作担当の塚本です。

視覚障害者にとって、移動の安全をいかに確保するかは、極めて重要な問題です。

安全な歩行が出来るようになるための歩行訓練が行われていることは、既にこの欄でも紹介いたしました。

先日12月3日(日)に視覚障害者の当事者の会であり、様々な支援活動も行っている「タートルの会」で、会員の方向けの「テーマ別サロン」が開かれ、この日のテーマは「歩行訓練」でした。

サロンには、既に歩行訓練を受けた経験のある人、まだ受けていない人など様々な人が参加していました。

サロンでは、ある全盲の方から「風の流れで曲がり角を見つけることが出来る」という発言があり、視覚障害者のとぎすまされた五感の鋭さに驚かされました。

この他、橋の下を通ると音が反響するので、歩いている場所が分かったり、音が急によく聞こえる場所にさしかかると、位置がつかめたりすることなどもあるということです。

勿論、誰もが出来るわけではないという事ですが、歩行訓練には、音を聞き分ける訓練も含まれているということです。

一方、白杖をついて街を歩いている人を見かけたときに、周囲の人が声をかける際の言い方としては、「大丈夫ですか」という言い方ではなく、「何かお手伝いしましょうか」といった声のかけ方の方が効果的だとも聞きました。

また、声をかけてもらった視覚障害者が、何らの援助も必要でない場合は、「有難うございます。今は大丈夫です。また声をかけて下さい」といった言い方が適切ではないかという事でした。

もしくは、「駅はこちらの方向で合っていますか」といった言い方で、簡単な援助をお願いしてみるのも良いのではないかといった意見も出ていました。

視覚障害の方々の歩行の安全を守ることは、社会全体の責務ではないかと感じました。