「クイック・ロービジョンケア」

番組制作担当の塚本です。

「新篇眼科プラクティス 7 だれでもロービジョンケア」という書籍を読んでいましたら、クイック・ロービジョンケアという言葉に出会いました。
初めて目にした言葉ですので、順天堂大学眼科の平塚義宗医師の論文を読んでみました。勿論、私は眼科医療の専門家ではありませんので、正確を期すために平塚先生の論文の引用という形で、今回はまとめさせて頂きます。

平塚先生は、クイック・ロービジョンケアの定義について、こうお書きになっていらっしゃいます。
「多忙な日常診療に従事する眼科医が、福祉制度やロービジョンケアの実際を網羅的に習得できる機会は限られている。しかし視覚障害に最も身近に接しているのは、眼科医である。ケアが必要な人をロービジョンケアにつなげる事は、全眼科医の責務と言えよう。
そこで、全ての眼科医療機関で最低限のロービジョンケアが提供される環境づくりを目指し、普通の眼科医は、これだけ知っていれば十分と言えるロービジョンケアをクイック・ロービジョンケアと定義した。」

この上に立って、平塚医師はクイック・ロービジョンケアを具体的に実践する第一歩として、「スマートサイト(ロービジョンケア紹介リーフレット)」の活用を提案しています。
スマートサイトは、今年9月に放送した第三回目の番組で、武蔵浦和眼科医院の江口万祐子先生も、その活用を強く勧められておられました。スマートサイトとは、ロービジョンの患者が様々な訓練や就労の相談、進学の相談などを受けられる相談先を紹介したシンプルなリーフレットです。

平塚医師は、「このスマートサイトには、近隣のロービジョンクリニックや視覚障害センターなどが記載されており、1枚のリーフレットを患者に渡すだけで、患者は情報を入手でき、サービスにアクセスしやすくなる。まずはここからスタートしよう」と訴えています。

参考資料)「新篇眼科プラクティス 7 だれでもロービジョンケア」(発行 文光堂)