「交通事故による中途失明を乗り越えて」④


番組担当の塚本です。15歳の時に交通事故に遭い、視力を失った安達朗子さんは、20歳で盲学校の高等部に入学。短大を経て、四年制大学に編入し、また新たな場に挑戦します。その時の心境を安達さんは、著書「私の使命~中途失明を越えて」の中で、こう綴っています。
「私は交通事故に遭って、目が見えなくなっても一度も恨む気持ちは芽生えなかった。どうしてかと問われても自分でも分かりません。命に関わる交通事故から生還したことが奇跡であって、その時からとにかく『生きる』ことに全てのエネルギーを注いできた。」
こうした強い意思に支えられて、安達さんは北星学園大学大学院に進学し、「視覚障害者と晴眼者の間で、何がコミュニケーションを阻害しているのかを明らかにする研究」に取り組みます。修士課程をトップの成績で卒業した安達さんは、博士課程に進学しました。視覚障害のある女性は、障害者であるという事に加えて、女性であるということでも二重に差別を受けているのではないかという問題意識から、博士論文のテーマを「女性視覚障害者における複合差別の経験とその意味付け」に決めました。視覚障害の女性に共通する想いは、「もっと一人の人として見て欲しい」という事ではないかとの気持ちを込めて、300ページを超える博士論文を書き上げ、2025年3月、博士課程を卒業しました。
不慮の事故による視覚障害と向き合い、乗り越えてきた安達さんは、この25年間を振り返って、二つのことを学んだと綴っています。一つは「励ましの大切さ」。そしてもう一つは「無限の可能性を信じる事の大切さ」。
著書の最後には、こう綴られています。
「これからの私は自分の未来だけでなく、人の為に未来を切り開いていける自分になれるよう、私にしか出来ない使命の道を朗らかに歩んでいく決意です。」
安達朗子さんの著書「私の使命 中途失明を越えて」は、北海道新聞社から1800円プラス税で出版されています。