「133年の歴史を持つ日本の点字」

先日、東京都教育委員会が主催する「視覚障害者とともに学ぶ教養講座」というセミナーに参加してきました。
この日のテーマは、「日本点字の歴史」というもので、講師は日本点字委員会副会長の金子昭さんでした。

そもそも点字は、1825年、パリ盲学校の生徒であったルイ・ブライユ少年によって発明されたとされ、それが日本に最初に紹介されたのは、江戸時代末期の1866年(慶応2年)のことでした。
勿論、江戸末期に点字が普及したわけではなく、アルファベットの外来点字を、日本語に応用して日本式点字を考案するまでには、20年以上の歳月を要しました。
目や耳の不自由な子供たちを教える官立東京訓盲唖院(現在の筑波大学付属盲学校、聾学校の前身)の教師を中心に、生徒も参加した会議の場で、どういう方式の点字が良いかの議論が積み重ねられ、最終的に現在の方式の点字の採用が決まったということです。
時に、1890年、今から133年前に日本式点字が採用されることになったという事です。会議の場に生徒も参加していたということに驚きを感じます。

これによって、点字は視覚障碍者教育の近代化を可能にし、視覚障害教育が普通教育と、ほぼ同じ理念で行われることが可能となったという事です。
今では、司法試験などでも点字による受験が認められるようになり、視覚障害の弁護士の活躍も伝えられるようになりました。

六つの点を使って、日本語の表記を可能にした点字の開発が、視覚障碍者教育に果たした功績は、極めて大きいと感じました。