「戦後81年の夏に戦盲歌を聞く」②

「戦後81年の夏に戦盲歌を聞く」②
番組担当の塚本です。8月15日(土)に放送されたNHKの「視覚障害ナビラジオ」にゲスト出演した歌人の佐佐木頼綱さんは、戦盲歌が生まれたキッカケについて次のように話していました。
「佐佐木頼綱さんの曽祖父である佐佐木信綱さん宛に、戦場で視覚に障害を負って療養中の一人の兵士から、短歌の話しを聞きたいという一通の手紙が届きます。それを受けて信綱さんは、病院で視覚障害の元兵士を相手に、万葉集の講義を始めました。彼らは熱心に短歌の講義を受け、戦中戦後の体験を短歌で詠むことによって、悲しみを言語化し、心の整理を付けようとしたのではないか」と頼綱さんは話しています。
また、佐佐木頼綱さんは、視覚障害者の詠んだ短歌に、音を題材にした作品が多いことにも着目しています。

病室の
壁たたきつつ
今朝もまた
散歩に出ゆく
戦盲の友ら

病院の壁をトントンと叩きながら、自分と同じく戦場で失明した友人が散歩に出かけていく姿を思い浮かべて詠んだ作品です。

封切りて
戦友 めくり読む
便箋の
音うらやまし
我に来ずして

同じ病室にいる戦友が、自分に届いた手紙の封を切る音を聞いて、自分には手紙が届かない寂しさを詠んだ作品です。
壁を叩く音といい、手紙の封を切る音といい、音に敏感な視覚障害者の心情がよく表れた作品と感じます。