「第93回全国盲学校弁論大会」②

番組担当の塚本です。

昨日に続いて、
今月3日に岐阜県立盲学校で開催された第93回全国盲学校弁論大会の模様を紹介いたします。

昨日は大会で3位に入賞した西森冬花さんの弁論を紹介しましたが、今日(15日)は準優勝の和歌山県立和歌山盲学校の高等部専攻科理療科の稲川祐司さん(36歳)の弁論の紹介です。

稲川さんは、これまでの人生で二度の絶望を味わったと話を切り出しました。

最初に絶望感を味わったのは、野球少年で甲子園を目指して、野球の名門高校に入学したものの、難病に冒され野球を断念せざるを得なくなった時でした。

生きがいと目標を失いかけた稲川さんでしたが、理学療法士を目指してみてはどうかというアドバイスに従って、昼間は働き、夜は専門学校に通って勉強するという日々を過ごすようになりました。

しかし、社会人三年目に脳内出血を起こし、意識が戻らない状態が二カ月も続きます。

幸いに意識は戻ったものの、全く何も見えなくなってしまいました。

大好きだった野球に続いて、視力も失うこととなり、これが稲川さんにとっての第二の絶望でした。

親や周囲に当たり散らすこともあったという事です。

それでも次第に、「生かされた命なら生きてやろう。生きるのは奇跡なんや。見えなくても歩ける。見えなくても夢や希望は持てる」と考えるようになったという事です。

生きていくことこそ挑戦だ。自分と未来は変えられる」という言葉で、稲川さんは弁論を締めくくりました。