「横断歩道の白線の間隔拡大を体験」

番組担当の塚本です。

横断歩道に白線が同じ間隔で引かれているのは、当たり前の光景です。

今、この間隔を従来より広げようという動きが始まろうとしています。

発端となったのは、昨年7月、警察庁が道路標識などに関する省令を一部改正し、横断歩道の白線の間隔を現行の「45~50センチ」から最大で90センチまで広げることが出来るとしたことでした。

その理由としては、間隔を広げることによって横断歩道に引く白線の数が減少し、塗料代などの費用が削減できることなどが挙げられています。

この警察庁の方針に対して、各地の視覚障害者の団体から、「白線の数が減ることによって、視覚障害者が横断歩道と認識するのが難しくなる」との懸念の声が上がりました。

都内では、現在、池袋駅近くのHaruza Tower前交差点の横断歩道の一か所で、白線の間隔が90センチに広がって引かれています。

この横断歩道で、昨日(6日)午後、警視庁の呼びかけに応えて、視覚障害者の当事者団体である東京都視覚障害者協議会(東視協)のメンバーが参加し、実際に横断歩道を渡ってみる体験会が開催されました。

横断歩道の白線の間隔が広がっても、晴眼者にとっては、何の支障もありませんが、視覚障害の人たちにとっては、そう簡単な事ではありませんでした。

実際に渡ってみた感想としては、「視覚障害者は塗料を塗って盛り上がっている白線を踏むことによって、横断歩道をまっすぐに歩けていることを感じている。白線の間隔が90センチに広がってしまうと、足の裏で白線を踏んでいるかどうかを感じ取ることが出来ないケースが起きるかもしれない。そうなると自分がまっすぐに横断歩道を歩けているのかどうかが分からなくなる。」といった不安の声が聞かれました。

また、弱視の女性からは「自分は視野が狭いので、白線の間隔が広がってしまうと、次の白線が見えなくなってしまう」といった声も聞かれました。

東視協としては、この日の体験会に参加した視覚障害者の意見を集約して、来年2月初旬をメドに、警視庁に伝えるとしています。