「読書バリアフリーサポーターの役割」④

番組担当の塚本です。

「読書バリアフリーサポーターは何をなすべきか」について、過去三日間にわたって、「文字・活字文化推進機構」が主催している「読書バリアフリーサポーター養成講座」の最終講義の内容をもとに触れてきました。

この最終講義では、読書に何らかの困難を抱える人たちのことを正しく理解しよう、障害当事者について知ろうという事がテーマでした。

当事者のお一人として、子供の頃から学習障害を抱え、進学にも大変苦労された女性が、ご自身の体験を語ってくれました。

学習障害とは、知的発達に遅れはないのに、読む・書く・計算するなどの特定の能力に様々な困難がある状態を指します。

この女性の場合、例えば「字を書く場合」に、時間がかかりとても疲れる・書いた文字を自分も含めて誰も読めないなどの障害があります。

また、「字を読む場合」には、教科書を目で追いながら音読することが困難・白い紙だとプリントの文字が欠けて見える・少し読んだだけでとても疲れるなどの障害があるということです。

そしてこうした学習障害からくる様々な困難を軽減するために、中学・高校・大学などで、様々な支援や合理的配慮を受けることが出来ました。

具体的には、「板書を書き取る負担軽減のために、カメラで撮影する」「試験問題の読み上げや、解答の書き込みに当たって、PCの利用を許可してもらう」「試験問題を読むのを補助するための黒い定規の持ち込みを認めてもらう」などの配慮が認められました。

こうした様々な合理的配慮の積み重ねの結果、この女性は大学卒業後、現在は仕事のかたわら通信制の大学院にも進学し、勉強を続けています。

読むことや、書くことに障害を抱える当事者について、周囲の人たちの理解があったためで、読書バリアフリーのサポートに当たっては、当事者研究がいかに大切であるかを示す実例と言えそうです。

この他、最終講義では、外国にルーツのある人にとっての読書のバリアを解消するために、公共図書館で行われている様々なサポートの実例なども紹介されていました。

今回ご紹介した「読書バリアフリーサポーター養成講座」は、近く次回の講座が開講されるという事です。

ご興味のある方は、「文字・活字文化推進機構」のホームページをご参照下さい。