「心眼~大東亜戦争失明軍人歌集」①

番組担当の塚本です。

以前、戦争で失明した元兵士が詠んだ短歌「戦盲歌」を紹介しましたが、失明軍人の短歌を集めた『心眼~大東亜戦争失明軍人歌集』という本を古書店で手に入れました。

監修したのは、失明軍人に短歌の作り方を指導した著名な歌人の佐佐木信綱氏です。

佐佐木信綱氏が書いた序文を、以下紹介します。(一部、現代語に置き換えて記します)

          序

戦局日に日に苛烈を極め、敵機の本土を侵せること既に数次。なおその脅威をたくましくせんとしつつあり。
この時に当たりて、ここに世に贈らんとするこの一巻は、大東亜戦争に参加し、激戦に身を挺して、不幸、明を失われたる軍人諸氏の戦闘、内還療養、再起に至る歌詠をまとめたもの。
この一巻にその作を収むるところの百余名は、皆これ、東京第一陸軍病院、その他において、編者等の指導により、おおむね初めて作歌せる人なり。
その素朴単純の作中にこもれる強健なる迫力は、必ずや読者の胸を打ちて、現時の戦力増強のもとともなるべく、また、戦盲諸氏の心眼に映れる人生記録の一部として、長くここに伝えるべき書なることを記す。