「戦後80年~視覚障害者と戦争」①

番組担当の塚本です。

戦後80年の今年は例年以上にこの国の過去の歴史を改めて見つめることが、必要になるかと思います。

以前、この「こぼれ話」の欄では、先の大戦で目を負傷し失明した元兵士が詠んだ短歌「戦盲歌」を紹介しましたが、今回は戦地へ赴いたか否かを問わず、戦時中の視覚障害者の日常生活などを含めて触れたいと思います。

文化放送が開局したのは、戦後7年たった昭和27年ですので、戦時中のニュース音源などは社内にありません。

様々な活字媒体やニュース映画の記録などをたどりながら、戦時下の視覚障害者の暮らしぶりを探っていきます。

太平洋戦争が始まった翌年の1942年、当時すでに発行されていた点字毎日という視覚障害者向けの新聞が、戦時下の視覚障害者の戦争への決意を示す標語を募集していました。

そして下記の五つの作品が入選しました。

決戦だ 心の眼は 鉄壁だ

眼を国に 捧げた友と 大進軍

さあ決戦へ この眼 忘れて

心眼で 日の丸仰ぐ 総進発

見えぬ目で 見えない敵を 打ち破れ

これらの標語の入選作を読むと、日本が戦争に突き進む時代の空気のようなものが伝わってくるようです。

参考資料)「点字新聞が伝えた視覚障害者の100年」(毎日新聞社点字毎日編集部 明石書店)