「戦後80年、日本失明傷痍軍人会の歴史」①

番組担当の塚本です。

この「こぼれ話」の欄では先月半ば、戦争で失明した元兵士の短歌「戦盲歌」について取り上げました。

先日、東京・九段下にある「しょうけい館」(戦傷病者史料館)を再度訪れ、失明した元兵士の戦後の暮らしぶりなどを記録した資料に目を通しました。

終戦から四半世紀余り経った昭和46年11月、日本失明傷痍軍人会という団体が結成され、恩給の増額など様々な要求を掲げて、運動を展開します。

この日本失明傷痍軍人会の創立20年記念誌(平成2年発行)と、創立30周年記念文集「戦争失明者の自分史~心に光を求めて」(平成12年発行)の2冊が保存されており、目を通してきました。

そのいずれの冊子にも、失明した元兵士の短歌や俳句が掲載されており、そうした創作活動が彼らの心の支えになっていたことを感じさせてくれます。

心眼歌壇と記されたページには、こんな短歌が紹介されていました。

指先にそっとさはれば冷たくて 春が息吹ける猫柳の芽

めしふれど再起奉公と会得せし 鍼灸業にわれ戦後過ごせり

この傷は命をつなぐ印なり 盲ひなるともおかげ忘れず

桃の木の小枝に八重の花咲くを さはりてみよと妻は誘なむ

また、創立30周年記念文集には、昭和49年の歌会始の御題「朝」で入選した短歌が紹介されていました。

義足の音 今朝も工場にひびかせて 少年工が一人水まく