「シネマ・チュプキ・タバタはこうして生まれた」①

番組担当の塚本です。

今週はサヘル・ローズさんの初監督作品『花束』について取り上げて来ましたが、視覚障害者、聴覚障害者が楽しめる映画館として、日本初のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」がどのようにして生まれたのかについて、今日から紹介させていただきます。

この映画館を創設した平塚千穂子さんの著書『夢のユニバーサルシアター』(読書工房刊)を基にまとめることに致します。

平塚さんの原点は、チャップリンのサイレント映画『街の灯』を視覚障害者に見てもらいたいという想いにありました。

2001年、シティ・ライツという音声ガイド研究会を立ち上げ、「見えるものを言葉で分かり易く解説し、映画の面白さを伝えるには、どうすればいいのか」をテーマにした研究を始めます。

実際に音声ガイドを付けた映画を視覚障害者に見てもらったりもして、完成度を高める工夫につなげました。

ただ、2001年当時、映画会社が公式に音声ガイドを用意するバリアフリー映画は、ほとんど存在しておらず、音声ガイド付きの映画鑑賞会は自分たちで企画するしかなく、最初のうちは映画館の許可をもらって、視覚障害者の隣の席にボランテイアが座って、周囲のお客さんの迷惑にならないように小声でガイドするようなスタイルから始まったという事です。

その後、FMラジオの電波を観客席に飛ばし、視覚障害者がイヤホンで音声ガイドを聞くなど、様々な方法で試行錯誤していくことになります。