「戦盲歌~戦争で失明した元兵士の短歌」③

番組担当の塚本です。

これまでこの「こぼれ話」の欄では2回にわたって、東京・九段下の「しょうけい館(戦傷病者史料館)」で行われた「次世代の語り部 定期講話会」から戦盲歌歌唱プログラムを紹介してきました。

今日は、イベント当日に3曲の戦盲歌を歌い上げた佐佐木頼綱さんの妻でオペラ歌手の神戸薫子さんのお話しを紹介いたします。

神戸薫子さんは、戦盲の作った短歌に曲が付いていることを知り、すぐに楽譜を取り寄せました。

その時の印象について薫子さんは、「これを歌にしたのかという感じがした。自分が今まで歌っていた曲とは全く違ったもので、衝撃を受けた。私の父が視覚障害者であったこともあって、胸打たれるものがあった」と話していました。

戦争で失明した元兵士が短歌として紡いだ言葉についても「それまで短歌を作ったことのない人たちが作り始めたもので技術ではなく、素直な気持ちが表現されている」との感想も述べておられました。

戦盲歌は作曲家の越谷達之助が遺作として世に送り出した作品ですが、薫子さんは「5・7・5・7・7の言葉を曲にするのは難しい。越谷は、言葉を繰り返すなど言葉の使い方がうまい。曲になることによって、世界が広がり、聴いている人に届くようになっている。この歌を歌い継いでいくことによって、色々な人の希望の光になれば・・・」と話し、戦盲歌を広めるのが私たち夫婦の宿命であるとの決意を語っておられました。