「戦盲歌~戦争で失明した元兵士の短歌」②

番組担当の塚本です。

昨日に引き続いて、今月8日(日)に東京・九段下のしょうけい館(戦傷病者史料館)で開催された「戦盲歌歌唱プログラム」の模様を紹介します。

戦盲歌は、先の大戦で出兵し、戦地で負傷し失明した元兵士が、帰国後に病院で、著名な歌人であった佐佐木信綱から短歌の手ほどきを受け、詠んだ短歌に曲を付けたものです。

当時はまだ世に出ることなく埋もれていた短歌の存在を世に知らしめたのは佐佐木信綱のひ孫で、歌人の佐佐木頼綱さんと妻でソプラノ歌手の神戸薫子さんのお二人です。

頼綱さんは、戦盲の元兵士が詠んだ「願いの歌」として、以下の二つの短歌を挙げています。

ふと思う
我が名書けずに
なりてより
幾月ならん
文字の書きたし


とこやみの
夜半に目ざめて
我が名など
指もて書けり
盲いし吾は

この二つの短歌は、失明した元兵士が、見えない事を受け入れ始めた時期の作品ではないかと、頼綱さんは解説しています。

戦盲の歌は彼らの魂の歌ではないかということです。「戦後80年、戦盲歌は決して過去のものではない。今こそ戦盲歌を大事にしたい」と頼綱さんは話しておられました。