「オーディオブック・サロン」③

番組担当の塚本です。

視覚障害者の方々の読書を楽しみたいという強い願いに応えようと、点字本、大型活字本、デイジー図書など様々な「聴く読書」のサービスが提供されていますが、新たにオーディオブックという商品が登場しています。

「オーディオブック
で広がる読書の可能性」をテーマにしたイベントが、先月31日(土)に川崎市視覚障害者情報文化センターと小学館のコラボ企画として行われました。

実際にオーディオブックによる読書を耳で聴いてもらったあと、参加した視覚障害者の方々に、日ごろの本との触れ合いについてお話しをうかがいました。

大学で教鞭をとっていたという男性は、中途失明で60歳ごろにほぼ視力を失いました。

眼が見えなくなった今は、朝から耳で読書する毎日で、サピエ図書で一日に一冊のペースで、本を読んでいるという読書家です。

初めてオーデイオブックを体験して、外国語の勉強の時に役に立つのではないかと話していました。

また、ロービジョンで左目が失明し、右目も日に日に症状が悪化しているのが分かるという男性は、「今はデイジー図書を借りて聞いている。オーディオブックの存在は全く知らなかった。オーディオブックの臨場感は聞いていて楽しいが、あとは値段がどの程度なのかが気になる。小学館が安く出してくれればいいのだが・・・」と話していました。

本が大好きという二人の女性にも話しをうかがいましたが、「本の情報を常に求めている。朝日新聞は土曜日の朝刊に読書欄があるので、そこは必ずチェックする。でも私たち視覚障害者は新刊の本をすぐには読めない。文字を音声に変えてもらったものを聴くしかないので、そこがもどかしい。でも本の楽しみは何よりも世界が広がる事。晴眼者とも一冊の本をテーマに、同じ立場で話し合えるのがうれしい」と、本に触れる楽しさを話してくれました。

視覚障害者の本へのアプローチの機会が、様々な形で今後広がっていくことを期待したいと思います。