「オーディオブック・サロン」①

番組担当の塚本です。

誰もが読書できる社会を目指し、読書のカタチを選べるようにしようという読書バリアフリー法が施行されたのは2019年の事です。

その後、2023年に重度の身体障害者である作家の市川沙央さんが、「ハンチバック」という作品で第169回芥川賞を受賞したことで、読書バリアフリーに対する関心が高まりました。

受賞作品の中で、市川沙央さんは「私は紙の本を憎んでいた」と書き、読書のバリアフリーをはじめとする障害者と社会の関係性の改善を強く訴えてこられました。

視覚障害者にとって、読書できる環境を整備して欲しいというのは強い願いの一つです。

点字で書かれた本、大きな活字で書かれた大活字本、音声で聞く朗読本など、様々な本の形が出来てはいますが、まだまだその数は少ないのが現実です。

どうすればこうした現状を改善できるのかを考えるイベントが、川崎市視覚障害者情報文化センターで、先月31日(土)に開かれました。

視覚障害者など紙の本が読みづらい人が「耳で聴く本」で、様々なジャンルの本にアクセスできるバリアフリー読書の体験イベントです。

イベントのタイトルは、「オーディオブック・サロン~デイジー図書にオーディオブック、聴く読書に選ぶ楽しみを」というもので、2000冊余りのオーディオブックを出している大手出版社の小学館と川崎市視覚障害者情報文化センターとのコラボ企画でした。

視覚障害者のサポート団体と出版社が、その垣根を超えてイベントを共催するのは、これまでに無かった試みだそうです。

そもそも「オーディオブックとは、どんなものなのか」「これまでの音声による読書とは、どんな違いがあるのか」など、実際に会場で音を聞き比べるなどして、多様化する音声による読書環境の将来などを考えるイベントでした。

イベント内容や参加した視覚障害者の声などは、明日以降のこの欄で紹介いたします。