「風になってください―視覚障害者からのメッセージ」②

番組担当の塚本です。

23日(金)に続きまして、今日も松永信也さんの著書「風になってください―視覚障害者からのメッセージ」をご紹介します。

松永さんは35歳の頃に発症し、40歳ころにはほぼ全盲になったという視覚障害者です。

「風になってください―視覚障害者からのメッセージ」という本は、2004年に出版されました。

それまで書き綴ってきたエッセーを1冊にまとめたものです。

今日紹介する作品は、松永さんの目がみえなくなってから、他の感覚などを研ぎ澄ませることによって、感じることが出来る体験を綴った作品の一節です。


見えない、聞こえない、僕には想像できない
でも大切なことは知ること
理解はいつかきっと共感につながる
映像も音もない世界で感じる波もあるに違いない
ひょっとしたら、それが一番真実に近かったりして


シクラメン
実は僕はこの花の色を知らない
聞いたのかも知れないけど憶えていない
でもそれは、どうでもいいことなんだ
乳白色の日もあれば、ショッキングピンクの朝もある
透明な時もあるのだ
僕はシクラメンを見ているし、シクラメンは僕に語りかけてくれている
それでいいんだ

松永信也さんの著書「風になってください―視覚障害者からのメッセージ」は、法蔵館から定価1400円(税別)で出版されています。