「あきらめる勇気 松永信也著」①

番組担当の塚本です。

新宿の紀伊国屋書店で視覚障害関係の書籍の棚で、『あきらめる勇気―「見えなくなった」僕を助けてくれたのは―』というタイトルの本を見つけ購入しました。

著者の松永信也さんは68歳。網膜色素変性症で30代後半に読んでいる活字がぼやけていることに気づきました。

そして40歳を過ぎたころに、松永さんの目は光さえも感じなくなりました。

そんな経験を通じて、「あきらめる勇気」みたいなものが人間にはあるのかも知れないと感じるようになり、日々の思いをブログに綴り始めます。

55歳でブログを始め、これまでに書いた本数は1000本を超え、アクセス数も160万を超えています。

この本は、選りすぐりのブログを集め、まとめた一冊です。以下、印象に残ったいくつかのブログの一節を紹介させていただきます。

「日陰」
光が確認できない僕の目は、陰を見つけることはできない。でも、やさしさを見つけるのは、見えていたころより、はるかに上手になった。幸せ探しが上手になったのかも知れない。

「深呼吸」
見えなくなって10年以上の時間が流れた。見えないことは仕方ない。
人間はあきらめる勇気も、我慢する力も持っている。だから見えない日常で、いちいち落胆なんかしていない。
それなりの喜怒哀楽に包まれた、それなりの日々が存在している。

視覚障害と向き合い、そして受け止める著者の心情が読者の共感を呼ぶ一冊です。