「点字200年に当たり点字の魅力を考える」②

番組担当の塚本です。

点字は1825年に、フランスの盲学校で学んでいた全盲のルイ・ブライユによって考案されました。

今年は点字が考案されてから200年の節目の年に当たります。

点字を一度も見たことがないという方は少ないかとは思いますが、点字は僅か6個の点の組み合わせで、日本語の仮名は勿論、数字、アルファベット、音符まで表記できるものです。

そしてそれらを手で触って読み取るものです。

最近は音声パソコンなどの普及によって、点字を利用する視覚障害者の数は減っていると言われていますが、点字の将来は今後どうなって行くのでしょうか。

国立民族学博物館の教授で、視覚障害者である広瀬浩二郎氏の編著である「万人のための点字力入門 さわる文字から、さわる文化へ」という本から、点字の持つ今日的価値を紹介してみたいと思います。

広瀬教授は視覚障害者の定義として、「視覚を使えない弱者」と「視覚を使わないユニークな人」という二つの見方を挙げています。

そのうえで、江戸時代の盲目の国学者の塙保己一のエピソードを挙げ、「全盲の彼が点字のない時代に、どうやって学問を修めたのか」という点に着目した時に、「塙保己一は、視覚を使えない弱者ではなく、視覚を使わないユニークな人と見るべきではないか」との考え方を示しています。

広瀬教授は更に、視覚も聴覚も失っていたヘレンケラーを例に挙げ、「彼女は触覚で世間を認識していた」と評価しています。

その上に立って広瀬教授は、「点字は、文字は線で表現するものだという健常者(多数派)の論理にこだわらず、触覚による読み書きに適した文字として提案された」と結論付けています。

視覚障害者の為の様々な情報機器が開発されている中で、「点字は本当に時代遅れなのか」という問いかけに対しては、広瀬教授によれば、「視覚障害者がじっくり読書しようとすれば、自分のペースで情報を獲得する手段として、今のところ点字に勝るものはない」ということです。