「災害時のトイレの備え」②

番組担当の塚本です。

昨日に引き続き、「視覚障害者とともに学ぶ教養講座」での、日本トイレ協会代表理事の加藤篤さんの講演内容を紹介いたします。

震災時に被災者にとって最も切実な問題が「トイレ」にあることは、昨日触れました。

阪神淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震の三か所の被災地の避難所でのトイレに関する具体的な事例を紹介します。

阪神淡路大震災発生当時、神戸市のトイレは、ほぼ全てが水洗化されていました。

水洗トイレには電気が必要で、一戸建ての住宅では電力供給が止まっても、水を流せる可能性はありますが、マンションの三階以上は、停電と同時に水が流れない可能性が高いということです。

排水の設備も、排水を外に出し、下水管を通じて流し、下水処理場で処理する全ての過程で電気が必要で、下水も機能しない可能性が高いということです。

このため、阪神淡路大震災の避難所では、便器が汚物で一杯となってしまい、床や手洗いで排泄するなど、トイレパニックが起きました。

東日本大震災では、近くのお寺に避難した視覚障がい者が、トイレがどこにあるのかが分からないため、トイレに行くのを我慢したために嘔吐し、救急搬送されたケースもありました。

能登半島地震では、避難所に電話ボックス型の仮設トイレの設置に時間がかかり、10か所の避難所を調査した結果、三日以内に仮設トイレが届いたのは1か所だけだったということです。

また、この仮設トイレにも色々な問題があり、これらの点については、明日のこの欄で触れます。