「AIを利用した鉄道駅転落事故防止対策」①

番組担当の塚本です。

「こぼれ話」のコーナーでは、これまでも度々、視覚障がい者の鉄道駅転落事故について取り上げて来ました。

視覚障がい者のホームからの転落事故は、平均して年間約60件、死亡者は2人ほどというデータがあります。

国土交通省では、「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障がい者の安全対策検討会」をこれまで13回にわたって開催してきました。

昨年10月に開催された検討会の議事録をもとに、議論の現状を紹介します。

最初は、AIを活用した鉄道駅での視覚障がい者の安全対策について触れます。

対策案は以下の四点です。

1、駅を利用する視覚障がい者に対して、改札口のカメラの映像から、白杖や車いすをAIで認識し、駅係員に通知し、見守りや声掛けにつながるシステム。

2、ホーム上のカメラの映像から、ホームの端へ近づく白杖の所持者をAIで検知し、音声で注意を喚起するとともに、駅係員へ通知するシズテム。

3、ホームのカメラ映像やセンサーから転落した人をAIで認識し、係員に通報するとともに、係員が非常停止ボタンを押すシステム。

4、駅のコンコースなどにある点字ブロックに貼付されたQRコードをiphoneの専用アプリで読み取り、音声で目的地まで案内するシステム。

以上の四つのAIを利用した転落防止システムは、既にJR西日本、大阪メトロ、京浜急行、相鉄などの一部の駅では導入されており、検知の精度は90%以上とされています。

国土交通省で開かれた昨年秋の検討会で、このAIシステムを使った安全対策を巡って、視覚障がいの当事者団体や有識者から、「白杖を持っていない視覚障がい者は、AIに認識されないのではないか」「既にホームドアのある駅を中心に、このシステムが導入されているようだが、安全対策と言うよりは、駅の利便性の向上が目的となっていないか」などの意見が出されていました。