「全盲の科学者、浅川智恵子さん」①
番組担当の塚本です。
視覚障がい者の安全な歩行をサポートするAIスーツケースについては、「知っていますか?ロービジョン」の番組でも、折に触れて紹介してきました。
このAIスーツケースの実用化に向けて、研究開発の先頭に立っているのが、「日本科学未来館」館長の浅川智恵子さんです。
浅川さんは小学生の時、プールの事故で目を負傷し、その後、緑内障も重なって、14歳の時に両目とも視力を失います。
そこからいかにして科学者の道を歩み、AIスーツケースの実用化に向けて取り組んでいるのか。
浅川さんの著書『見えないから、気づく』(ハヤカワ新書)を基に紹介していきたいと思います。
浅川さんは両目を失明した後、高校は盲学校に進学し、点字の習得などに大変、苦労されました。
当時は、視覚障がい者が普通高校に進学するのは、事実上、不可能だったということです。
盲学校を卒業後、浅川さんが進路として選んだのは、科学研究の道ではなく、大学の文学部でした。
大学卒業後の視覚障がい者の就職先は、あはき業や電話交換の仕事が主流でした。
しかし、浅川さんは、「或る視覚障がい者がコンピューターのプログラミングを職業にしている」との情報を得て、コンピューターの勉強に俄然、興味を持ち、「日本ライトハウス」で2年間、コンピューターの勉強に励み、そこから科学者への道の第一歩を踏み出しました。