「読書バリアフリーに向けた作家団体の共同声明」

番組制作担当の塚本です。

今月9日、日本文藝家協会、日本推理作家協会、日本ペンクラブの作家三団体が、「すべての人に表現を届けるために、そして誰もが自由に表現できるように」というタイトルの共同声明を発表しました。

視覚に障害のある人にとって、紙の本を読むというのは多くの困難を伴うものです。今回の作家三団体の声明は、表現者の立場から読書バリアフリーを推進していこうという決意をアピールしたものです。

先ず、共同声明に盛り込まれた内容を紹介します。

「読みたい本を読めない人たちがいます。日本で初めて点字が正式に採用されたのは1890年。録音図書の製作と貸し出しが始まったのは1958年。電子書籍が本格的に普及し始めたのは2010年代。障害者にとって、読書をする手段は100年以上も前からあったにもかかわらず、未だに読みたい本を読むために長く待つことを強要されたり、読む手段を奪われたりすることもあります。
     (中略)
私たちは出版界、図書館界とも歩調を合わせ、読書環境整備施策の推進に協力を惜しみません。」

共同声明の発表に当たって、日本ペンクラブ会長で作家の桐野夏生さんは、「私はどうしても紙の本にこだわる。しかし紙の本を手に取って、ページをめくることも出来ない人がいることに衝撃を受けた」と説明しています。

記者会見の会場からは、「これからは作家が、どんどん電子書籍を作っていくことが必要だ」などの声が聞かれました。

これまでは、作家の意識としては、書店を守るためにという理由で、紙の本しか出さないという傾向が強かったということですが、今後は視覚障害者が電子書籍、録音図書などに接する機会が増えることにつながればと感じます。