「文化の盗用」の線引きはどこ?
女装パフォーマーのブルボンヌと、伝統芸能研究家の重藤暁を迎えた8月18日放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部(文化放送)」。
特集コーナーでは「文化の盗用を考える」というテーマでお届けした。
2019年、アメリカの有名モデルのキム・カーダシアンさんが、自身の手掛ける下着ブランドを「KIMONO(キモノ)」と名付け、世界中から多くの批判が集まった。日本からは「下着を『キモノ』と呼ぶのは失礼」「伝統文化の知名度を金儲けに利用しないでほしい」といった反発の声が上がった一方、海外では「文化の盗用だ」という批判が相次いだ。
「文化を盗み、利用する」という意味の言葉「文化の盗用」。果たして、その線引きはどこにあるのか。
ブルボンヌ「海外のアーティストさんが日本風のファッションでショーをやったりすることも、日本人は寧ろ『うわぁ〜、なんかウチらっぽいのをやってくれて嬉しい!』みたいに思ったりするようなことが、欧米の中では叩かれたりしている事例もいっぱいあるのよ。ケイティ・ペリーとかグウェン・ステファニーとかみんな怒られてる」
重藤暁「『安易に使うな』っていう意味で?」
ブルボンヌ「そうね。実際には、たとえばちょっと中国と日本がごっちゃになっちゃってるような衣装とか、その辺が伝わってきちゃうから余計にそうなんだろうけどね」
西川あやの「スタジオにある例に『じゃあ、モーニング娘。のハッピーサマーウェディングのミュージックビデオは文化の盗用?』って書いてあるんですけど…(笑)」
ブルボンヌ「あれもダメ(笑)?コスプレとかさぁ、その辺の線引きもややこしいことになってくるよね。じゃあ『チャイナドレスをハロウィンで着たらダメなのか?』みたいなことにもなってくるよ。突き詰めると全員がお互いの首を絞めかねない発想でもあるから、何かを真似るなら『ある程度それのことを知っとこうね』みたいなのはあるんじゃない?」
重藤「『知っとこうね』で、海外はその辺りはクリアになるんですか?」
ブルボンヌ「そこもやっぱさぁ、『どれくらいそれでお金が発生してるか』みたいなこととかによっても変わってくると思うよ」
西川「結局、そういうことになるんでしょうね。注目度とか、マジョリティの大きさ具合が重要かなと思いますけど、大前提として文化のルーツを知っておくというのは多少やるべきだっていうのは共通するような気がしますけどね」
ブルボンヌ「そうかもしれないね。それを纏ったり使うんだったら『ちょっとはそれを知っとこうね』っていうことが、世界で起こっている現象に対して『ちょっと身を引き締めましょう』みたいなポイントにはなっていくんじゃないかな。ただ、あんまりこれを振りかざしすぎると物作りに嫌なほうの影響もあるから、あたしも絶対全部が『文化の盗用です!』って怒りすぎるのもちょっと違うかなとは思う。『まだこれから考えていこうね』っていうテーマなのかな」
西川「あと、個人でやるものと経済効果を見込んでいるものとかでも違いがありますよね」
ブルボンヌ「そうだね、たしかに。ハロウィンで衣装を着ている子どもとかに、あんまりそうやって怒るの嫌じゃない?」
西川「(歌舞伎衣装を着ている子どもがいたら)『助六の意味、知ってやってるの?』とか……」
重藤「いや……まぁ、でも僕は言いますよ。『なんなんだ、これは!』って」
西川「言わないでしょ(笑)。お菓子あげてください(笑)」
さらに、ドレッドヘアなどのブラックカルチャーにおける文化の盗用や、歌舞伎の隈取(くまどり)などについても話した。
「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜〜金曜の午後3時30分〜5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6kHz、radiko)で放送中。また、radikoのタイムフリー機能では1週間後まで聴取できます。
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