なぜ最近のハリウッド映画は長いのかジャーナリストがズバリ回答…もはや映画は娯楽の中心ではないのかも?
「ハリウッド映画の終焉」を著した、映画・音楽ジャーナリスト宇野維正さんが8月4日の大竹まことゴールデンラジオに登場。エンタメの中心だったハリウッド作品の現状を大竹・室井に解説した。
大竹「今回のご本は「ハリウッド映画の終焉」ということで…、ハリウッド映画は終わりましたか?」
宇野「終わったって言ったら怒られちゃうんですけども、終わる方向にあるという感じですね。」
大竹「でも、この間「ミッション:インポッシブル」を見に行ったんですけど混んでましたよ。」
宇野「長いと思いませんでした?2時間40分くらいあるじゃないですか。」
室井「えー、おしっこどうすんの?」
大竹「だから最後の5分見なかったんだよ、おしっこしたくて。」
スタジオ(笑)
宇野「あれ、どうして長くなってるか分かりますか?2つ理由があるって、まず1つは映画がマニア層のものになっているので、ネタがいっぱい仕込まれてるほど喜ばれるんです。もう1つは、ハーベイ・ワインスタインに象徴される大物プロデューサーが「#MeToo」でいなくなったじゃないですか。プロデューサーは、お客さんが見やすいように映画を切り刻むのが一つの役割だったんですが、力のある大物プロデューサーが減って、監督が好きなように作るようになっちゃった。すると、監督って自分が撮ったものをなるべく切りたくないんです。」
室井「小説とかでも長く書く方が楽なんです。それを削るのがすごい大変なの。」
大竹「プロデューサーの問題もあるでしょうけども、大衆はそこだけで見に行ってるわけじゃないですよね。どこが原因でハリウッド映画が弱くなってきたと思ってらっしゃるんですか?」
宇野「映画はこれまで何度も危機がありました。例えばテレビが出てた時の危機、ビデオが出てきた時の危機。こういうメディアの変遷では、今回一番の危機はNetflixなどの配信プラットフォームでしょう。」
室井「ごめん、見ちゃってるわ。」
大竹「ごめんごめん(笑)」
宇野「それはもちろん大きな理由ではあるんですが、それだけではなくて、そもそも2時間30分とか2時間という映画自体、もう娯楽の中心ではなくなっていくんでしょう。配信プラットフォームだけではなく、例えばYouTubeやTikTokという短い動画に慣れている世代にとって映画は長すぎるし、逆にファンダムはむしろ長い映画を求めていて、いわゆる普通の映画がどんどんなくなってるんですよね。」
室井「そうかも。それと「トップガン」なんかは自分たちの青春の頃の映画だったから、絶対見に行かなきゃ、みたいな感じで続き物になっちゃう。」
宇野「だから「ミッション:インポッシブル」も「トップガン」も、最近特に当たった海外作品だと「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」も、当たる映画って全部シリーズ物なんですよ。つい最近の話で言うと「バービー」が、シリーズ物でないのに大ヒットしたことがニュースになるくらい、シリーズ物以外ヒットしなくなっています。」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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