「物価はもっと上がっているのに…」中小零細企業の賃金上昇率2.1%
7月13日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、中小零細企業の賃金上昇率について意見を交わした。
藤井氏「賃金上昇率は労働者にとっても実は少ない」
厚生労働省は12日、今年の中小零細企業の賃金上昇率は2・1%で、26年ぶりの高さになったことを明らかにした。最低賃金の引き上げ額を決めるための参考資料として審議会の小委員会に示したもので、引き上げ幅を押し上げる一因になるという。
寺島アナ「2・1%という中小零細企業の賃金上昇率は、労働者にとっては嬉しいわけですけれども、雇用主にとってはどうなんでしょうね?」
藤井氏「もちろん雇用主にとっては厳しい話でしょうけれども、もしも売り上げが2・1%以上伸びていたら、それは厳しくはないですよね。特に身を切らなくても儲かった物をそのまま賃金に回すっていうだけですから。売り上げがあるかどうかっていうことですけれども、物価上昇率が3〜4%程度なんですよね。だから2・1%しか伸びていないっていうのは労働者にとっても実は少ないっていうことになってるわけですよね。そこが問題ですよね」
寺島アナ「物価はもっと上がっているのに、賃金上昇率が2・1%だったら『よかったぁ〜』とは言ってられないっていうことですね」
賃金上昇率を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者が2・0%、パート労働者は2・1%だった。業種別では、コロナ禍で落ち込んだ業績の回復が進む宿泊・飲食サービス業が2・6%と大幅に伸びた。
今年の賃上げをめぐっては、大企業を中心とした春闘では正社員で3・58%と、30年ぶりの高水準となった。
寺島アナ「この賃上げ。これが来年も、そして再来年も、となっていけばいい感じとよく言われますけど、ただ一方では、人手不足で賃上げせざるを得ないっていうケースも中小はあるようですよね」
藤井氏「それはありますよね。売り上げの成長率が2・1%を超えてたらいいんですけどね。ただ、そんな企業でも名目成長率がどれだけ伸びても物が高くなってるのでしんどいですからね」
寺島アナ「原材料とかね?」
藤井氏「そうそう、だからやっぱり企業も実質成長率で考えなきゃいけないんですけど、やっぱり全然ダメですよね」
寺島アナ「中小というのは親会社があったりすると、どうしてもそこで『本当はもっと上げてほしい』っていうところが、なかなか上がってこないっていうケースも多いと聞きますんでね」
藤井氏「で、23年度の実質成長率の見込みがプラス0・8%だから、ダメですね。もっと上げないと」
寺島アナ「となると、やっぱりここは政府の出番なんですね」
藤井氏「そうですよ、だから『消費税減税やれや』っていうことなんですけどね、もう常に同じ答えになっちゃうので退屈みたいな話なんですけど、それが全ての原因なんだからしょうがないですよね」
寺島アナ「ポイントは“経済成長”ということですもんね」
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