【西武】古市尊選手インタビュー 課題のブロッキングは「気合いで一球一球がむしゃらに止めてます」

【西武】古市尊選手インタビュー 課題のブロッキングは「気合いで一球一球がむしゃらに止めてます」

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7月6日放送のライオンズナイターでは、東京ドームのロッテ-西武12回戦の試合前に、埼玉西武ライオンズの古市尊選手にインタビューした模様を放送した。今シーズン支配下登録され、一軍でのスタメン出場も増えてきている古市選手。ここまでの手ごたえや現在の課題、今後の目標について訊いた。

――昨シーズンのルーキーイヤーは育成選手としてどのような日々を過ごしていたのですか?
古市「怪我をしてしまって思うようなシーズンを送れず、怪我の影響で試合にもほとんど出られず苦しいシーズンを送りました」

――どこを故障したのでしょうか?
古市「腰を怪我してしまって」

――プロ1年目はいろいろと大変なことがありましたよね?
古市「はい。いろいろと大変でした」

――1年目が終わる頃、2年目に向けた手ごたえを古市さんは感じていたのでしょうか?
古市「フェニックスリーグに参加してバッティングで良い成績を残せたので(2試合に出場し、打率.333、出塁率.600) 。プロに入った時はバッティングにそんなに自信はなかったんですけど、今の嶋(重宣)打撃コーチと3軍でずっとバッティング練習をして、フェニックスリーグから実戦復帰という形になってそこで思うような成績が残せたので、そういう意味では手ごたえはありました」

――嶋重宣コーチのどういった教えをかみ砕いて身にしていったのですか?
古市「やっぱり量を振ったというか、ティー(バッティング)をメインにやったんですけど、数振って身体に良い感覚を染みこませるというような(形で)日々積み重ねてやっていました」

――基礎固めってやはり大事なんですね?
古市「はい」

――2年目の今シーズンは2月最終週(2月19日)からA班のキャンプに合流されました。オープン戦で一軍の先発ローテーション投手とバッテリーを組んで学んだことはありますか?
古市「配球面です。レベルの高い配球だったり、投げミスをしない攻めた配球というのを(髙橋)光成さんの(球)を捕ってて感じました。ボールもレベルが高いので、しっかり構えたコースに投げ切ってくれたり(というところ)はレベルの高さを感じました」

――そこで古市さんの意識のレベルは高くなったのではないですか?
古市「そうですね。配球の一段階レベルの高いことを知れたことで、これが一軍なんだなと感じました」

――4月14日に支配下登録を勝ち取りました。どのようなお気持ちでしたか?
古市「嬉しかったのが率直な感想なんですけど、ホッとしたというような嬉しさに満ちた感じでした」

――キャッチャーとしてのポテンシャルの高さはもちろん、バッティングのコンタクト能力の高さも評判になっていました。その時点でイースタンリーグでの打率.393、出場10試合の内9試合で第1打席に出塁していました。これだけの数字を残せたのはなぜなのでしょうか?
古市「ずっと調子が良かったのもありますし、一軍(A班)キャンプに呼ばれて、そこでも打撃の改造をしてもらいました。そこから手ごたえを感じてファームに行ってもずっと良い感じで打てていたのが一番自信になりました」

――第1打席の入りには皆さん苦しむと思います。その中でこれだけの結果を出せるのは素晴らしいです。
古市「1打席目は対戦したことのないピッチャーもいますし、その分割り切れたというか。お互いデータのない部分もあると思うので、(僕は)割り切って入っていったのが逆に良かったのかなと」

――その心がけは今の一軍での第1打席に役に立っていますか?
古市「一軍で全然打てていないのは、結局はメンタル面だと思う。『打ちたい』とか『結果残したい』とかの部分が邪魔をしているのはあります。昨日の佐々木朗希投手の時(7月5日、ロッテ-西武11回戦、2回表の第1打席にライト前ヒット)は、『打てなくて当たり前、打てたらラッキー』くらいの気持ちで打てたので、それくらいの気持ちがちょうどいいのかなって。僕あまりファームでも三振していないんですけど、一軍に来ると今まで振ったことのないコースも振ってしまったりとかして、嶋(重宣)バッティングコーチに『らしくないことするな』と怒られました」

――5月10日に初の一軍昇格を果たして、2週間弱で7試合に出場、その内2試合はスタメンマスクを被られました。当時(の心境)はいかがでしたか?
古市「いつかきっとスタメンではという気持ちはあったので、思ったよりも早くチャンスをもらえてやるしかないという思いで試合に臨みました」

――5月12日楽天戦(7回戦)、プロ初のスタメン出場でしたが、田中将大投手からプロ初ヒットを放ち、延長12回フルイニング出場。ベンチ入りの全投手9人の球を受け続けました。いろいろありましたね?
古市「まさか初スタメンであんなに競った、長引いた試合になるとは思っていなかった。正直受けたことのないピッチャーもいましたし不安でいっぱいだったんですけど、しっかりコミュニケーションを取って、いろいろ全部確認してから臨んだのでそこは良かったのかなと思います」

――打席の準備が無い時には試合中にブルペンに何度も行っていましたね?
古市「そうですね。サインの確認だったり、配球のコミュニケーションだったりをしっかり取っていけたのが良かったのかなと思います」

――5月21日のソフトバンク戦(7回戦)、世界レベルの俊足周東右京選手の二塁盗塁を刺しました。どのようにアウトにしたのか思い出していただけますか?
古市「正直、僕もあまり覚えていなくて。その試合ダメだったら、柘植(世那)さんも帰ってくる頃合いだったので、何か爪痕を残さないとファームに落ちちゃうなとは思っていてそれに集中してて。(試合に)入りすぎて最初代走に周東選手が来たことも気づいていなくて、ベンチからの指示で(一塁を)見たら出ていたので。それくらい入っちゃってて、(周東選手が)盗塁したことも投げたこともあまり覚えていなくて。投げて刺して初めて思い出したんですけどあまり実感がなかったというか。(試合に)入り込んでしまっていたので投げた瞬間の感覚だったり走った瞬間の走ったことすらも覚えていない状態でやっていたので、嬉しいという実感はなかったです。もったいないんですけど(笑)」

――一度二軍に行って3週間も経たない内に一軍に戻ってきました。6月30日のソフトバンク戦(8回戦)、三森大貴選手の盗塁を刺しましたがこちらは覚えていますか?
古市「あれは覚えています!」

――俊足の三森選手相手に完全にアウトでしたね?
古市「投げた時にマスクがズレちゃって見えなかったです(笑)。投げた時の感覚は良かったです」

――見えなくてもストライク送球をあれだけの素早いタイミングで出来るというのは本当に身体が覚えているんですね?
古市「投げるまでは見ているんですけど、投げ終わりでちょっと途中が見えなくて。あまりあれも実感なかったですね」

――スタメンで起用される試合が増えた上に、頻繁にカード初戦を任されることも多くなりました。(起用について)いかがですか?
古市「カード頭を(キャッチャーとして)座ることが多いので、大事なカード頭をという緊張はあるんですけど、もう失うものは無いのでそういう気持ちで毎日やってます」

――低めに構えていてもペタンと座らずに少し腰を浮かせていますが、なぜなのでしょうか?
古市「ブロッキングに入りやすいようにというのはあるんですけど、低めに構えすぎちゃうとあまり動けず幅が効かないので僕はミットだけ低く、どうしても(投球を)低くしてほしい時は重心を低くして構えています。(一番は)ブロッキングに入りやすいためというのがあります」

――ブロッキングって難しいですよね。ワンバウンドを止める上でどのようなことを心がけていますか?
古市「気合いですね(笑)。気合いで止めてます。僕はもうワンバウンドはキャッチャーの一生の課題だと思うんです。どれだけベテランの選手でもワイルドピッチにしてしまうことはありますし、弾いてしまう時はあると思う。キャッチャーの中ではスローイングよりもブロッキングが一生の課題だと思います。僕はまだまだ技術がないので、そこは気合いで一球一球がむしゃらに止めてます」

――しっかりと止めることができればピッチャーからの信頼も得られますよね?
古市「そこも大事だと思う。信頼を得ることで投げ切ってくれるというか、しっかり要求通り投げてくれるのが多くなると思うので、死ぬ気でブロッキングするように心がけています」

――目標とする選手像を教えていただけますか?
古市「僕のスタイル的には(ソフトバンクの)甲斐(拓也)選手が一番(の目標)。実際生で見て素晴らしいキャッチャーでしたし、僕のスタイルにはピッタリかと思う。甲斐選手に近づけるように頑張りたいと思います」

――甲斐拓也捕手の足の運びを参考にしているというのは本当ですか?
古市「そうですね。独立リーグ(四国アイランドリーグplus、徳島インディゴソックス)の時はずっと参考にしていました」

――どういったところを参考にされていたのですか?
古市「左足を一歩出すところです。プロに入ってからはやらなくなってしまったんですけど」

――やらなくなったのはなぜですか?
古市「プロと独立リーグでは球のキレが違うので、左足を一歩出しちゃうと(投球が)横にちょっとでも逸れた時に追いつかなかった。それで1年目にファームでも全然刺せなくて悩んで結局改善したんですけど、今は出さずにやっています」

――オリジナルの形を作ろうとしているんですね?
古市「足の運びを今野田(浩輔)バッテリーコーチと課題にしてやっていて、どうしても早く動きすぎて投げにくいところで捕っちゃう癖があるので、『肩強いんだからきちんと捕って投げたらアウトになる』と言われた。投げ急がず捕って狙うようにしてからファームでは(盗塁阻止率)1割くらいしかなかったんですけど一軍では結構刺せているので(7月6日試合前現在、盗塁阻止率.455) 、その足の運び方が良いのかなって思います」

――『尊』という名前の由来はご存じですか?
古市「尊敬の『尊』、みんなから尊敬されるようにという意味でつけられたらしいです」

――そうなれている自覚はありますか?
古市「いやいや全然です。まだまだなので」

――どうすれば皆さんから尊敬されるようになれますか?
古市「もっと結果残すしかないと思いますし正捕手を取れるようにしないと尊敬されないと思うので、まずは正捕手を取れるように頑張りたいと思います」

※インタビュアー:文化放送・斉藤一美アナウンサー

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