【アナコラム】斉藤一美「今、私には怖いものがありません」

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文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「アナウンサーコラム」。週替わりで文化放送アナウンサーがコラムを担当しています。この記事では全文をご紹介!

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▼6月9日配信号 担当
斉藤一美アナウンサー

今、私には怖いものがありません。不遜な言い方で恐縮ですが本当にそう思うのです。Prime VideoのWBC実況を任せていただき…いやぁ~SNSで叩かれる叩かれる!そもそも私のホームグラウンドであるライオンズナイターでも賛否両論であることなど分かっていますが、外の世界に出てみたらこんなに批判されるのか…と呆気に取られました。そういったマイナスの意見をまとめるネット記事が拡散され、私の実況に触れていない方の目にも留まるのです。火に油が注がれていく、そのど真ん中に図らずも身を置くことができました。

ただ、19日間で10試合を喋るスケジュール。連日の“炎上”でさすがに気分は滅入りますが、落ち込み続ける間もなく次の本番がやってきます。目の前で侍ジャパンの史上最強ぶりを必死に実況するうち、ユーザーの皆さんの心も広くなっていったことを肌で感じました。

そもそもゲームを伝えきるのに長時間がかかる野球で、こんな短期間にそれだけの試合数を喋った経験はありません。決勝まで声はもつのかずっと不安を抱えていましたが、おかげさまで杞憂に終わっています。

WBC決勝戦実況直後

改めて分かりました。限界とは自分の脳が作り出す妄想なのです。もちろん、これ以上は無理、という体力の限界はあるのでしょうが、その遥か手前で不要なブレーキを踏んでしまっていたことに気づかされました。WBCの配信中継へ参加し、大いなる批判の声を受け止めながら過密日程も乗り越えた今、これからの放送で何が起きてもビクつかない確信があります。

ライオンズ・源田壮亮主将と

まぁ、何を言ったところで埼玉西武ライオンズ・源田壮亮主将が見せたメンタルの強さと比べれば私など足元にも及びません。WBCで右手小指を骨折しながら準々決勝・準決勝・決勝でフル出場を続けた獅子奮迅の活躍を現場から伝えた経験は、私にとって一生の宝物となりました。現在公開中のドキュメンタリー映画『憧れを超えた侍たち』には彼の苦闘ぶりが克明に記されています。侍ジャパンの世界一に心を躍らせた方…ぜひこの作品をご覧いただきたいです。

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