「それな」に「草」に「ギャルピース」。50年後も残る小説に使う? 使わない!?
5月29日「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」(文化放送)、特集コーナーは「死語」をテーマに語り合った。今月発表された最新のJS(女子小学生)流行語では、「それな」「草」「ギャルピース」などがランクインした。ただこういった言葉たちも、いつかは死語になるかもしれない。
西川あやの「いまも『死語じゃないかな』と自覚しながら使っている言葉ってありますか?」
山内マリコ「『じぇじぇじぇ』(笑)。いま『あまちゃん』再放送しているから、毎日観ているんです。本放送から再放送までの10年間、ずっと使い続けています」
青木理「死語って自覚すると使わないから、わかんないね。雑誌でこういう特集を読んでも、世代が下がると共有感覚が持てなくなる言葉ってあるでしょう? 野球だったら『全員野球でいこうぜ』なんて、『なんですか、それ』って。あと麻雀用語。『俺、テンパイしているからよ』『テンパイってなんですか?』みたいな。『テンパっちゃって』も麻雀用語じゃないですか。そういう言葉は使っちゃっているかもしれないね。『倍満だぜ』みたいな」
西川「青木さんから聞いたことないですよ!」
青木「西川さんとの会話では言わないよ(笑)。昔よく麻雀したな、という人との会話でね。ラッキーなことがあると『倍満じゃん』『数え役満じゃん』などと言うこともある」
番組では今月の小学館『ちゃお』に掲載されたという「JS流行語」のトップ10も紹介した。「それな」「ぴえん」「草」など、以前から聞いているような言葉もランクインしていた。仕事で文章を書く青木、山内はそういった言葉たちをどう扱っているのだろうか。
西川「お二人は執筆業をされていく中で、いつから『この言葉は使わない』という判断をしますか?」
山内「さっき、いまの大学生ぐらいの子は『モチベーション』ってそのまま使わないかな、『モチベ』って略すかな、と思って、そう書いていました」
西川「なるほど!」
山内「想像&感覚ですけど、『これは縮めて使っているだろうな』という感じで。いまこういうの使うだろうな、というのは積極的に入れるようにしています。小説って長く残るものだから、固有名詞って割と嫌われるんですよ。でも私、映画を観ていても、うっかり映り込んだ町並みとかに価値を感じるので、いまリアルだと思うことはできるだけ入れていこうと。少し前の私の小説を読んでも『こういう時代あったな!』と懐かしくなります(笑)」
青木「難しいよ。僕が書くようなルポルタージュもそうだし、小説の世界はもっとそうだと思う。『入れないとおかしいけど入れたとたんに古くなっちゃうもの』というのが。言葉だけじゃない。僕らみたいなバブル世代からすると、あのころは携帯電話が出始めで、スマートフォンなんかなくて、主に使われていたのはポケットベルだった」
山内・西川「はい」
青木「そのころのことを取材して書こうと思うと当然ポケットベルが登場する。僕らからするとポケットベルは説明の必要がない。でもいまの20代の子が読んだら『ポケベルって何?』って思うだろうし。文学作品は残るから50年後の読者が『ポケベルって?』っていうことになりかねない」
山内「夏目漱石の小説の後ろの注釈みたいになりますね(笑)」
青木「小説ってそこが肝でもあるけど、そういう流行のところから古びていく面もある。言葉もそうだし、登場させるものもそうだから、作る人たちは考えるだろうね」
「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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