生成AI活用 G7で道筋 藤井氏「それとなく“らしいこと”を言うのだけが特徴なので何にも知らないんです」
5月11日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、「生成AI活用 G7で道筋」というニュースについて意見を交わした。
藤井氏「読み解く力っていうのは絶対必要になりますよ」
岸田総理は官邸でインタビューに答え、広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)で「Chat GPT」など文章を自動的に作る生成AI(人工知能)の活用に道筋をつけると明らかにした。個人情報の侵害や偽情報の拡散といった弊害を防ぐルールを設けるとも表明した。
岸田総理は生成AIについて「一部の国で禁止すべきだという議論もあるが、活用の流れを止めるのはなかなか難しい。どう付き合っていくか考えていく」と述べた。
寺島アナ「岸田総理は『スピード感を持って取り組んでいきたい』と強調しています。急速に進化しているAIとの付き合い方なんですが、藤井さん、このあたりはどうお考えですか?」
藤井氏「これは『表現者クライテリオン』でも特集を組んで『こんなもんに頼ってたらあきませんよ』ということを申し上げたのですが、Chat GPTというのは“新しい道具”なんですよ。これね、めちゃくちゃ嘘をつくんですよ。なんでかっていうと、インターネットに流布されている言説に基づいて言説を生成しますから」
寺島アナ「そこからピックアップしていきますからね?」
藤井氏「そうです。だから、財政論なんていうと、もう嘘ばっかり書かれているわけでしょ? だから、Chat GPTは嘘しかつかないっていうことになるんですよね。しかもChat GPTは人間と違って、知らないことでも意見を言い切っちゃうんですよ。Chat GPTって汎用コンピュータじゃなくて何の判断もできないんですよ。ただデータベースを選んで、それとなく“らしいこと”を言うのだけが特徴なので何にも知らないんです。だから、そういうもんだとわかっていて付き合う分には活用できますよ」
寺島アナ「吟味の目があればね?」
国内の大学ではChat GPTなどのAI対策について、上智大学は「リポートや学位論文で無許可の使用を認めない」、東京大学は「AIのみを用いたリポート作成は認めない」などとしている。これに対し、「PCが普及してきた頃、レポートは手書きじゃないと受け付けない、などがあったが、それと変わらない」という反論があった。
寺島アナ「藤井さん、この辺りはいかがですか?」
藤井氏「Chat GPTが出したものをそのままコピペしてるヤツっていうのは、何にも考えてないってことでしょ? そういうヤツは最初から0点にしないといけないですよ。ところが、Chat GPTを使っても、ちゃんと意味があることがわかる人間は、いろんなことをChat GPTに書かせて正解だけをコピペできますよ。だから、そこが問われないといけないですよね。一応、Chat GPTは禁止にしてもらわないと困りますよね。ただChat GPTは、弁護士とか医師とか、きちんとしたデータベースがインターネット上に転がっているものは相当正しい回答をしますよ。それでも嘘をつきますから、読み解く力っていうのは絶対必要になりますよ」
寺島アナ「最終的には、中身のある人間が使わなければ意味がないということなんですね」
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