ダウン症の弟に母が教えた「いじめられないための3つの言葉」とは?作家・岸田奈美さんに聞く
最新エッセイ「飽きっぽいから、愛っぽい」を著した、作家の岸田奈美さんが5月8日の大竹まことゴールデンラジオに登場。本のはじめに書かれた、ある文章に大竹はとても共感していた。
大竹「この本の冒頭には、エッセイを書き始めて7本書いたら何にもなくなったとありますね。」
岸田「そうなんですよ。自分の人生についての連載を持たせてもらったら、序盤でも書き終わっちゃって、「えっ!」ってなったんですよね。」
大竹「私も過去に経験ありますけど、7本書くと、本当に何にもなくなります。本当に7本。7本書いたらもう、ほとんど人生の全部書いたみたいになる。」
岸田「逆に言うと人の人生は7本で語れるのかもしれない。」
大竹「最初に7本って書いてあるのを見て、俺も7本だったって愕然!人はだいたいね、脳の中も7本なんじゃないか?それで人生終わったと思った?」
岸田「人生終わりましたね。もう総集編を挟んでも1年も持たないと思って、編集部に「すいません、書けないんでやめさせてください」って言ったら「いやいや、書けることを探しましょう」と。」
大竹「やっぱりそっからだったんだね、書くってことは。」
岸田「そうですね。全部出し切って、すっからかんの状態で、あと何を書いてないんだろうって思った時に、自分でも思い出せないけれども、何か心の中に残ってる景色とか人とのことを書けるかもって思って、本当に無理やり引っ張り出してます。私、中学生の時にお父さんを亡くしていて、母親が車椅子に乗っていて、弟が生まれつき知的障害があるダウン症で、やっぱりちょっと人と違う家族だっていうところで、楽しかったんですけどなんか不便というか寂しいところとか多分辛いところとかもあったんですけど、それも含めて、めっちゃおもろいんで聞いてくれっていう話を書きました。」
大竹「お父様がお亡くなりになったのはおいくつの時ですか?」
岸田「私が中学2年生で父が39歳の時でした。父と私は顔も性格も似てたんですけど、すごい反抗期だったので喧嘩をしてて。本当にバカだったんですけど、私は最後に「もうええわ、おとんなんて死んでまえ」って言って部屋に閉じこもったんですよね。そしたらその晩に本当にお父さん体調悪くなって、心筋梗塞を起こしてしまって、意識不明のまま亡くなってしまったっていう。いやー、なんでそんなこと言ったんだろう。あんなに大好きだったお父さんに、むきになって売り言葉に買い言葉で言っちゃったっていうのを、ずっと引きずってましたね。」
大竹「お母様が倒れたのはいつですか?」
岸田「父が亡くなってから3年経ってないぐらいですね。私が「お父さんにあんなこと言っちゃったのが申し訳ないから、お父さんと一緒の仕事やって夢を叶える」って大学で経営を学ぶと言ったら、お母さんが「じゃあ大学の費用とか、ちゃんと稼がなきゃね」っていうので、本当に朝から晩までパートに出てくれたんですけど、それで過労で倒れて大動脈解離っていう大きな血管が裂けていく病気になって。手術室運ばれた時には亡くなる確率が8割って言われたんですよ。それで「このまま亡くなってしまうか、2割の確率にかけて手術をするか、娘さんあなたが決めてください」って先生から言われて、手術してくださいってサインをしたら、命は助かったけど足は動かなくなっちゃったっていう。それで、すごい自分を責めましたね。」
大竹「責任を感じちゃうだろうね。弟さんがダウン症でいらっしゃるけど、普通の学校に通われてたそうですね。」
岸田「多分クラスで浮くかなって思ったんですけど、うちのお母さんが、弟にいじめられないようにって、3つの言葉だけ教えたんですよ。勉強はできんでもええから、「ありがとう」「ごめんなさい」「こんにちは」この3つだけを叩き込んだら、「こんにちは」って挨拶して、助けてあげたら「ありがとう」って言うから他の子供も「なんや、ちゃんとコミュニケーション取れるやん」っていつの間にか仲間に入れてくれて。今でも覚えてるんですけど弟が小学校卒業する時に先生が家に来て〇〇って言ったんですね。」
この続きはradikoのタイムフリー機能でご確認下さい。
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。