「ネット右翼になった父」著者が振り返る父親との深い溝…仕事を全否定された気になった行動とは?
ヘイトスラングを使い、テレビの報道番組に毒づく父親との断絶を埋める方法を探った話題の本「ネット右翼になった父」を著したルポライターの鈴木大介さんが3月3日の大竹まことゴールデンラジオに出演。親子の断絶について伺った。
大竹「今日、鈴木さんは「大竹さんに怒られる」とおっしゃってるそうなんですが、なぜ私に怒られると思いになったんですか?」
室井「あれでしょ、大竹さんがじいさんだからっていうことでしょ?」
大竹「お前、身も蓋もねーな。」
鈴木「昨日もラジオを聞いてたんですけど「そういう年じゃねえだろ」的な、ジェンダーギャップの尖ってる人たちが「キー」ってなるような発言がありました。毎日ラジオを聞いてればセーフな発言だと分かるんでしょうけど、例えば年に1・2回だと違うでしょう。僕が父の闘病に付き合ったのは月に8時間ぐらいで、その間にずれた発言が出るとやっぱり僕も「キー」ってなっちゃったわけです。貧困状態にあるシンクルマザーに対する本を書いている僕の前で、シングルマザーをバッシングし、「自己責任だ」とか「ナマポ」「マスゴミ」と言った時点で、頭の中はもう発火状態だったわけです。僕としてはその段階で話し合うような余地はなく、余命が2年3年と言われている状況だったので母のいる前で父と言い争いはしたくないというところもあって、全部我慢しちゃって。父を送った後に、父をネット右翼にしてしまった奴らは誰かっていう怒りの寄稿をデイリー新潮ウェブメディアにやったんです。そうしたら、よく考えてみるとおかしいぞってことが出てきて、検証したのがこの本になったと言うわけです。」
大竹「そういう発言がお父さんの口から頻繁に行われるようになったのは、どのくらいの期間なんですか?」
鈴木「亡くなる3年前ぐらい。2016~17年ぐらいからで、頻繁に僕が父と会うようになったってことです。」
大竹「その前は会ってなかったんですか?」
鈴木「年1とか年2ぐらいですよね。リビングにいてもすぐに2階に上がっちゃうような父だったので、年に5、6時間ぐらいしか話しをしなかったんじゃないですか。」
室井「考え方が違うのが問題じゃなくて、そこから話し合えないのが問題だと思う。」
鈴木「ねえ、それは分かってるんですけど。」(笑)
大竹「鈴木さんの実家には、お母さまが買ってきた、女性や若者・子供の貧困問題などをテーマにした鈴木さんの著作がすべて揃っていたそうですね。」
鈴木「父がネット右翼的なスラングを使うという時点で、まず僕の仕事を全否定された気はしましたね。一冊も読んじゃないだろうなっていうふうに思いました。例えば、納豆を嫌いな人っているじゃないですか。でも納豆を嫌いだからといって、その人をまるっきり嫌いなったりしないですよね。多分ネット右翼は、納豆メーカーをバッシングしたり、「納豆を食うな!」って声高に叫んだりしてしまうような人たちだと思うんですよ。それで「納豆嫌い」から転じた「ナトギラ」とかいうスラングを聞いた時に、「あ、なっとうメーカーの前でデモやってる人たちだ」って思っちゃうのがいけないと思うんです。僕は父に対して、「ナトギラ」というスラングを使ったから、「この人は納豆メーカーの前で叫んでる人だ」ぐらいのショートカットしてしまったんです。」
大竹「言葉が先鋭的だと、その言葉だけで拒否してしまうことろが人にはありますよね。」
鈴木「僕の中にアレルギーがあったってことです。そしてメディアがたくさんあることで「ナトギラ」的なショートカットをしてしまうスラングがたくさん世の中にあるわけなんですよね。」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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