進む円安。外国人スタッフの給与に悩む経営者の相談に回答!『長尾一洋 ラジオde経営塾』12/5(月)放送
約9,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答。
今回は金属加工会社の副社長さんからのご相談。円安が進む中、外国人スタッフの給料をどうすればいいかと悩むご相談者に、長尾社長はどのようにアドバイスしたのでしょうか。その一部をご紹介します!
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■進む円安で、日本で働く意味が希薄化
ご相談者はラジオネーム”ケイコ”さんです。
ご相談:
いつもラジオを拝聴しております。
私は創業55年になる金属加工業の会社の2代目社長の妻であり、副社長として経理と総務を担当しています。
この20年は社員数が20名から25名ほどで、近年の人手不足から約5年前に優秀な外国人を雇用する方針に変え、現在はネパール、中国、ベトナムの若い3名がおります。
最近の円安で日本から母国への仕送りも難しくなってきている状況で、日本で働く意味の薄さに困惑しているようです。
外国人を受け入れている会社は、今後どのように対処していくのが良いか、長尾先生のお考えを知りたいです。
※追伸※
雇用した2019年と今では日本の経済状況が違っており、円安が続くと他国に移住も考えるかもしれません。
給与に為替レートに考慮した手当のような形も考えていますが、他の社員との公平さを欠くことを危惧しています。
外国人雇用をしている小さな会社では、円安の場合は給与をどうしていったらいいのでしょうか。
長尾社長:円安が一気に進みましたからね。
外国人雇用の問題、実習生問題とかいろいろあって専門分野ではないんですけれども、やはりこれから考えなければいけない会社も増えるのではないかと思いますので、今日はビシっとアドバイスしたいと思います!
■経営者として経済合理的な判断が必要
円安で仕送りもままならない外国人従業員の方々にやさしく心を寄せるご相談者さん。
まず最初に長尾社長から、宣言どおりビシっ!とアドバイスがありました。
長尾社長:ご相談者にお会いしたことはありませんが、文面を読む限り、3名の外国人の方に対して優しい気配り、心配りがある、日本のお母さん的な感じですよね。
非常に素晴らしいと思いますが、やはり経営者としては経済合理的に判断するしかない。
松尾アナ:「経済合理的に」とはどういうことでしょうか?
長尾社長:もともと日本人は高くて雇えず、外国人は安くて優秀な人材が採用できるので雇用されたのだと思います。
それが円安で価値が減り、魅力を感じてもらえないんじゃないか…と。
そこで手当をつけて給料を上げたら、今度は逆に日本人の社員さんが不公平感を感じるというわけですね。
そう考えると”日本人が安くなった”ということですよね?
日本人の方が安いのであれば、じゃあ日本人の給料を上げてもっと採用できるようにすると考えればいいのであって、「外国人だから」とか「円安だからなんとかしてあげなきゃ」とか「仕送りしているんだから援助しなきゃ」とか、それは余計なことでね。余計なことって言ったらアレですが。
気配りは素晴らしいんですけどね。実習生をブラックでこきつかうのとは空気感が違います。
■”アットホーム”は売りにならない時代
松尾アナ:経営者って難しいですね。ご相談者さんの「働いている人に良くしてあげたい」っていう気持ちもすごく理解できます。
でも会社ってどういうものかを考えたときに、やはり利益を追求しなければいけないという…。
長尾社長:そうなんだよね。だいぶ人の考え方も変わってきて。
家族主義的なアットホームさに魅力を感じて会社に定着して、「安い給料だけどこの会社でやっていこうか」という人が多かったときもあった。
でも今は外国人に限らず日本人も合理的。給料がいいから勤める、安ければ辞める…という感じですしね。
ご相談も、ネパール、中国、ベトナムの3人の方が頑張ってくれているからこそだと思いますが、ぶっちゃけ外国人の方が日本に来て働くのは、お金のためなわけです。やはりきちんとお金を稼がせてあげなきゃいけない。
稼げないのであれば当然立ち去っていく。そういう競争を経営者はしていると考えるしかないのではないでしょうか。
■根源的な問題に立ちかえる
ご相談者さんの心配りは素晴らしいけれど、経営者として競争の渦中にいる自覚が必要だと話す長尾社長。
会社が生き残るために考えるべき根源的な課題についてもアドバイスを贈りました。
長尾社長:(外国人を雇用するにあたっては)なんだかんだ経費は掛かっているはずなんですよね。紹介する会社に頼んだり、住むところを手配されたり。
安く雇えているようで、実はそんなに日本人と変わらないという話もよく聞きます。それが円安で魅力を感じていただけないとなると…。
企業は払う額は変わらないので、コスト的には減っていないのに価値が減っているということです。
それで給料を上げないと母国や第3国に行っちゃうのであれば、じゃあ日本人を雇うしかないとなる。
そうすると給与水準が上がっていくので、根源的にはやはり会社自身が付加価値を上げ、収益性を上げ、利益を出さなければ生き残ることはできない、と。
労働者をどうするかという目先のことだけじゃなく、そもそも会社の収益性をどうするのかということ。最終的にはどんな話もそこに行き着いちゃうんですけども。
■答えが無いのが経営の面白さ
最後に、多くの経営者の方々がお悩みを抱え番組にご相談を寄せてくださることについて、長尾社長からメッセージがありました。
松尾アナ:最近は経営者の皆様からご相談をいただくことが多いですね。本当に、さまざまなケースがありますね。
長尾社長:まあね。バシッと「これやったら全て上手くいく」みたいな話でもあればいいんですけどね(笑)。
それが無いのが経営の面白いところでもある。答えが決まっていない、というかね。
今も文面だけで勝手なお答えをしているんで、「実際は全然違うよ!」とケイコさんも思っていらっしゃるかもしれませんが、皆さんにご相談をどんどんしていただきたいですね。
なるべく背景や考えも付随的に書いておいていただくといいですね。
ラジオでは多少端折ってご紹介しますが、色々書いてくださると、私も答えやすいので。ぜひご相談いただければと思います!
■『ケイコ』さんへの回答まとめ
・従業員に対する温かな心配りは素晴らしいけれど、経営者としては経済合理性に基づいた判断を。
・稼ぐために日本に来る外国人の方々を定着させるには稼がせてあげるしかない。円安で魅力が減れば立ち去ってしまうのは当然。
・日本人の方が安い状況であれば、日本人の給料を上げて採用のチャンスを増やす。
・最終的には会社自体が付加価値や収益性を上げ、給与水準を上げていける体制を作ることが必要。
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