年金制度「もう少し考えた方が…」 支給額3年ぶり引き上げも「負担するのは現役世代」
物価上昇を踏まえ、2023年度の公的年金の額面上の支給額が、3年ぶりに引き上げ改定されるという。11月22日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、このニュースについて、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏が寺島尚正アナウンサーと意見を交わした。
田中氏「現役世代は将来的に半分くらいの年金しかもらえなくなる」
年金は原則として物価と賃金が上がる局面では、給付が増える設計になっている。しかし一方で、物価の伸びよりも給付を抑える「マクロ経済スライド」というルールも存在し、今回この抑制策が発動された。少子高齢化による寿命の伸びと保険料の担い手減少などを踏まえた決断であり、支給額は実質目減りする可能性が高いという。また、ニッセイ基礎研究所は「マクロ経済スライド」が2023年度に完全に適用された場合の支給水準を試算。68歳以上の改定額は前年度と比べて1.8%増。前提となる2.5%より0.7%程度伸びを抑えるかたちとなる。
「高齢者の負担感が強まり景気回復の足枷となる恐れがあるとの指摘もありますが、これについてどうお考えですか」(寺島アナ)
寺島アナの質問に対し、田中氏は「まず『高齢者の負担感が強まり』というのが理解できないです。公的年金の支給額を3年ぶりに引き上げるんですよね。2.5%引き上げるところを1.8%に抑える程度で、0.7%(の差し引き)。例えば仮に支給額が20万円だとすると、1,400円くらい損をするという程度の話だと思うのですが、これでも認められないんですかね」と疑問を浮かべた様子。続けて、年金制度のあり方について指摘した。
「年金が上がっているなかで負担をするのは誰かというと、年金をもらっている人ではなく、現役世代ですよね。現役世代が一番負担していて大変なので、マクロ経済スライドという仕組みを作ったのですが、デフレが続くことや政治的難癖でうまくやっていないので、このままいくと今の現役世代は将来的に今の人たちの半分くらいの年金しかもらえなくなってしまうんですよ。つまり言い換えると、それだけ人口減と少子化が進んでしまっていて、若い人が負担できなくなっている。これはもう少し考えたほうが良いんじゃないですかね」(田中氏)
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