「尊敬する先生に怒られました」この番組で火がついた?売れっ子作家・斎藤幸平さんが新作の取材で苦労したことは?
11月11日の大竹まことゴールデンラジオは、経済思想家の斎藤幸平さんが登場。2日に発売したばかりの新刊について、取材の裏話を明かした。
大竹まこと「以前、紹介した【人新世の「資本論」】という本は、一大ブーム沸き起こしましたね。」
室井佑月「すごいよ。売れっ子になっちゃったね。」
斎藤幸平「この番組から火がついたといっても過言ではありません。」
大竹「そして【ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた】というご本をお書きになりました。机上の空論ではなく、現場に足を一歩踏み入れた方がいいんじゃないかと思ったそうですね?」
斎藤「宮本憲一先生という、公害の問題などで現場に行って戦った、私のすごく尊敬する環境学者の先生がいて、その方から「斎藤君はもっと現場に行って、問題を現場の人たちと一緒に考えなさい」というアドバイスをいただいたんです。それに従って、例えば水俣に行って水俣病の患者の方に話を伺ったりしました。やっぱり学者というとどうしても、研究室で資料読んで論文を書いたりするイメージがあると思うんですが、現場で学ぶこと、感じることの重要性を改めて感じましたね。」
大竹「ウーバーイーツもやったんですね。」
斎藤「はい自転車で。ちょうどコロナ禍の始まりだったんですけど、やってみると最後には疲れて思いっきり段差でつまずいて捻挫しました。」
室井「じゃあタイトルは本当なんだ。」
大竹「現場を知らなくちゃいけないという気持ちはすごく分かる。街でよく見かけるけど、ウーバーの人が目的地にはついたけどビルを見上げて呆然としてて、このどこだっていうのがちょっと分からないときもあるみたいだね。」
斎藤「ちょっとずれたりするじゃないですか、携帯のGPSって。それで入り口が分からなかったり、どっちの建物か迷ったり、ウーバーの論文を読んでるだけだと分からないこともありました。とはいえ1日とか2日しかやってないので、実際に生活してる方や当事者と比べれば、私が見たこと感じたことは一面でしかないんですけれど。」
室井「でも、やるとやらないとでは大きな違いがある?」
斎藤「という風に僕は思いましたね。」
大竹「現場に行ってある種の運動体とか、冷静に見るのってめっちゃくちゃ難しいよね。」
斎藤「結局は僕がその問題について書くわけじゃないですか。そうすると取材や案内などで話を聞かせていただいたのに「あいつ全然分かってないな」とか「結局、人気取りのために書いてるんじゃないか」って思われてしまったら、むしろ相手の方にも迷惑かかります。」
室井「あと片方だけ取材して、思いっきり感情込めて発言しちゃったりすると、反対にいるもう片方の敵になっちゃったりね。」
斎藤「それでさっき言った宮本先生に1回怒られました。水俣のお話を書いた時に、患者の方や問題に取り組まれてる方には話を聞いたんですけれど、「チッソ株式会社」の方に話を聞かなかったんですね。スケジュールの関係もあって。そうしたら「それはやっぱり聞かなきゃいけないよ」と、そういう取材の難しさがありました。僕は普段マルクスとかのテキストを研究してる人間なので、今実際に起きてる問題の描き方や取材の仕方は大変で、緊張もしました」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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