「パーフェクト・ドライバー」は韓流映画の真骨頂!
鈴木BINのニュースな映画
文化放送報道部デスク兼記者兼プロデューサーで映画ペンクラブ会員の鈴木BIN(敏夫)が、気になる映画をご紹介しています
来年公開の韓国映画「パーフェクト・ドライバー」
映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』本ビジュアル((C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & M PICTURES. All Rights Reserved.)
2023年公開の韓国映画「パーフェクト・ドライバー」をひと足早く拝見しました。原題は特殊配送会社を略した「特送」と言います。つまりワケ有りの「人や荷物」を運ぶ特送会社。この怪しい会社、表向きは自動車のスクラップ会社です。その会社に社員として身を置きつつ、実は会社特命のウラ稼業を日々黙々とこなすのが、スーパードライビングテクニックを持つヒロイン、ウナ。ウナ役を演じるのは、アジアから初のアカデミー賞作品賞を獲得し映画の歴史を変えた「パラサイト 半地下の家族」で一家の長女役を演じたパク・ソダムです。パク演じる主人公ウナもまた、ワケ有りの過去を背負う暗さが表情に滲み出た女。ちなみに映画の冒頭で、逃げようとする若干マヌケな強盗犯たち(顧客)に、彼女は顔色ひとつ変えず乗車ルールの遵守を命じます。このシーンで映画好きならすぐに思い出すのが、ジャイソン・ステイタム演じる運び屋フランクが、フランスの海辺の街を舞台に疾走(暴走)する「トランスポーター」シリーズ!
ところが、そこは何といっても韓国映画。韓流ならではの独特の暗さと、疾走感と、骨太バイオレンスと、めまぐるしいストーリー展開と、人情味と、メランコリックなムードに溢れていて、その独特のノワール感の中、ヒロインのウナはスクリーン所狭しと暴れまわります。そしてまたしても観客は、いつのまにか『ザ.韓流』ワールドにひきこまれてしまった自分に気づくのです。恐ろしや韓流。
映画の中で起きる事件は、特殊配送会社が引き受けてしまったヤバすぎる一件です。それは野球賭博に絡む賭博ブローカーの「高飛び」。ウナの嫌な予感は的中し、悪い奴らに追われながら車で逃げ回ることに。警察や国家情報院(かつてのKCIA)まで巻き込んでのストーリーが螺旋盤のようにくるくると回りながら展開して行きます。なぜ国家情報院まで登場するのかと言えば、それはヒロインのウナが脱北者だったからなのです。それにしても、韓国映画はサスペンスに今の政治状況や社会状況を織り込んでくるのが本当に上手です。ファンタジーやコメディに陥らない濃密で骨太なリアルがこの作品にも溢れていて、ただのアクション映画では終わらせてくれません。そう言った意味では、「トランスポーター」よりもずっと奥深い映画となっていると言えるのかもしれません。
ちなみにヒロイン役のパク・ソダムは、映画撮影後、乳頭がんで手術となり、韓国での映画宣伝には加われなかったそうです(まだ完全復帰とはなっていませんが、SNSで明るい笑顔を見せてくれていますので、次回アクションものにも期待大)。そしてもちろんこのパーフェクト・ドライバー(特送)は韓国で大ヒットしました。何と世界47カ国に販売されたそうで、日本でも2023年(来年)の1月20日に公開が決定したという次第。私鈴木は、来年の劇場公開を待って、もう一度足を運ぶ予定です。
映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』は、2023年1月20日より全国公開予定です。
-
Profile
-
1964年、奈良県生まれ。関西学院大学卒業後、1988年、文化放送にアナウンサーとして入社。その後、報道記者、報道デスクとして現在に至る。趣味は映画鑑賞(映画ペンクラブ会員)。2013年「4つの空白~拉致事件から35年」で民間放送連盟賞優秀賞、2016年「探しています」で民間放送連盟賞最優秀賞、2020年「戦争はあった」で放送文化基金賞および民間放送連盟賞優秀賞。出演番組(過去を含む)「梶原しげるの本気でDONDON」「聖飢魔Ⅱの電波帝国」「激闘!SWSプロレス」「高木美保クロストゥユー」「玉川美沙ハピリー」「NEWS MASTERS TOKYO」「伊東四朗・吉田照美 親父熱愛」「田村淳のニュースクラブ」ほか