難しい新入社員への対処法は?ハラスメント時代のサバイブ術『長尾一洋 ラジオde経営塾』11/7(月)放送
約9,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答。
今回は口ごたえや反抗が止まらない新入社員にお困りの方からのご相談。長尾社長はどのようにアドバイスしたのでしょうか。その一部をご紹介します!
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■新入社員に困っています…
ご相談者はラジオネーム”総務課長”さんです。
ご相談:
新入社員に困っています。
今年入ってきた新入社員の教育担当をまかされました。
しかしその新入社員は、自分が好きな仕事は積極的にやるのですが、嫌いな仕事は後回しにして全然やりたがりません。
また「この仕事はこういうふうにやってくれ」と指示すると口答えしたり反抗したりします。
時々ため口にもなりますし、こうした世間知らずの新人にはどう対処すればいいでしょうか。
よい知恵を頼みます。
長尾社長:最近こういう話が多いですね(笑)
松尾アナ:お困りの方が結構いらっしゃるってことですね。
「社員育成」に関するお悩み、長尾さんの会社ではいかがですか?
長尾社長:ここまでの人はいないですよ。口ごたえして反抗してみたいなことは(笑)。
松尾アナ:これは上司や先輩がガツンと怒るというか、注意するべきなんでしょうか?
長尾社長:注意すべきでしょうが、今なにか言うとパワハラだなんだと言われますから、なかなか言いにくいということでしょうね。
職場のあり方も大きく変わる中、このような「上司側」のお悩みは各所から聞こえてきます。
長尾社長はどのような対処法を指南したのでしょうか。
■時短に電話、エンジョイも?◯◯ハラあれこれ
お悩み解決の前に、松尾アナが日経新聞の記事『新種ハラスメントの氾濫』を参考に、新人教育などで問題になりがちな新種ハラスメント問題を紹介しました。
松尾アナ:今どれくらいの数のハラスメント、◯◯ハラがあると思いますか?
長尾社長:いろんなハラがあるもんね。20個とか?
松尾アナ:少なくとも50はあるそうで…
職場にまつわるものだけでも相当数あり、一般に知られるパワハラやモラハラ以外にもさまざまな◯◯ハラが生まれていると言います。
【新種ハラスメントの例】
・ジタハラ(時短ハラスメント)
長時間労働削減に対して具体策を講じないまま「残業をするな」「定時に帰れ」などと退社を強要するなど。
・テクハラ(テクノロジーハラスメント)
ITが苦手な人への嫌がらせなど。
・リスハラ(リストラハラスメント)
リストラ対象者への嫌がらせ。
・リクハラ(リクルートハラスメント)
就活生への嫌がらせ。
・テルハラ(テレフォンハラスメント)
電話が苦手な社員に電話対応を強要する。
・エンハラ(エンジョイハラスメント)
「仕事って楽しいよな!」などの楽しさを押し付けるなど。
松尾アナ:こういうのもあるのか…と。
長尾社長:「ちゃんと電話かけとけよ!」とか言ったらテルハラと言われちゃうんだ。
松尾アナ:どこまでがハラスメントなんでしょうね。
長尾社長:これは本当に線引きが難しい。法律でも会社として対処しなきゃいけないとなっているので。
「もう好きにしてくれよ」と言いたくもなるけど、反抗されたり口ごたえされたら放っとくわけにもいかないよね。
■上司側が身を守るためには?
ベテラン勢にとって当たり前だった仕事の指示でも、場合によってはハラスメントと捉えられかねない昨今。
ハラスメントの是正が進むのは良いことである一方、教育する側にとっては警戒のあまりおよび腰になってしまう部分もあるようです。
松尾アナ:そういうつもりではなくてもハラスメントと言われるとなると、落ち着いて注意もできないというか、ちょっと弱気になってしまうこともあるでしょうね。
長尾社長:本人に「僕がそう感じました」と言われたら、それが成り立つ世界。
ちょっと深刻な話をするときにはこっちが録音しておくのが良いと思いますね。
ただ今回のご相談はちょっと度を越しているというか。
やはりお辞めいただくことも(考えるべき)。
ハードルは高いけれども全く無理なわけでは無いですよね。
その際は「この社員さんにこんな指示をして、どうなった」「さらに指導もしたけれどこういう状況であった」など、全部文書で残して本人にもサインさせる。これを何個も積み重ねていく。
「聞いてない」と言われるといけないので、証拠を残しておく。
本人も内容に合意したものを記録に残しておくのが、いざという時のためには良いのではないかと思います。
松尾アナ:なんらかのミーティングを持って、お互いに「こういう状況だけどどう思う?」ということを話すような?
長尾社長:うん、もう言うしかないですよね。まあそもそも採用をもうちょっと何とかした方がいいんでしょうけども。
ラジオネームからしてきっと総務課長さんでしょうから、採用にも関与しておられると思いますし。
■デジタル活用で「省人数経営」を目指すべし!
最後に長尾社長が指南したのは、会社全体で取り組める抜本的な解決です。
松尾アナ:抜本的な解決方法というのはないのでしょうか?
長尾社長:こういう社員さんが増えてきたとか、こういう人しか採れないとなれば、「もうロボットでいいじゃん」と。
IT使う、AI使う。まあDXです。私はこれを『省人数経営』と言ってます。
無理して頭数を揃えようと思うから採用しちゃうわけですよね。
この問題社員さんのことも、さすがに「素晴らしい人材だ!」と思って採ってはいないでしょう?
「ちょっとどうかな…。でも頭数も要るししょうがない」と採用するからこういうことになるわけですよね。なので、やはり厳選採用して省人数でやっていくと。
そのかわり人数は少ないので、ITやテクノロジーを使って生産性を上げていく。そこに投資をしていく。
こんな社員をなんとかする努力をするくらいなら、そっちに努力をした方が手っ取り早いというか。
酷なようですが、ご本人の人生なので。会社は家族じゃなく、仕事でやっているわけなのでね。
常識や社会人としてのマナーも教えてやりゃいいけど、教えてもやらない、何度言っても反抗までする。そんなやつをわざわざ育てる必要は無いわけです。
お辞めいただきゃいいのに、仕事が回らないから辞めさせられないというのが一番経営的にはまずい。
それは省人数経営でなんとか乗り越えていただくということになるのかと思います。
■『総務課長』さんへの回答まとめ
・放っておきたくもなるが、口ごたえや反抗となってはさすがに対処せざるを得ない。
・「辞めていただく」のも選択肢。ハードルは高いができなくはない。
・話し合うことは必要。深刻な話をするときは録音を忘れずに。
・いざ辞めていただくとなると、不利にならないよう証拠が必要。指導の内容や経緯、結果などを本人が内容に同意したサイン入りで文書に残す。
・抜本的な解決には『省人数経営』を目指すべし!
・ITやAIを活用。度を越した人材を育てることに手間をかけるくらいなら、DXなどに投資する方が良い。
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