総合設備工事会社が力を入れるドローンを使った取り組みとは？

文化放送・松井佐祐里アナ「まずは、事業内容を教えて下さい」

株式会社九電工 DX推進部長・徳丸清孝氏「地元九州に根付いた総合設備工事会社です。九州だけで、107の拠点があり、ビルの工事はもちろん、田舎の方ではエアコン取付や水漏れ修理など町の電気屋さん、水道屋さんのような工事も行っています。工事以外に、PFI事業や熊本天草にてオリーブ事業なども行っています」

松井「PFI事業って何ですか？」

徳丸「PFIとはPrivate Finance Initiativeの略で、1992年に英国で誕生した政策です。民間資金や経営ノウハウ、技術を活用して公共施設整備や公共サービスを行う手法で、日本では1999年に“民間資金等の活用による公共施設等の促進に関する法律（PFI法）”が成立し、同年９月より施行されています。日本でのPFI事業は、十数年以上の長期契約が一般的で、公共が民間に公共施設の設計、建設、維持管理、運営までトータルに委託するもので、九州ではたくさんの実績を有しています｣

松井「九州以外にも拠点があるそうですね」

徳丸「九州以外に仙台、首都圏、名古屋、関西圏に、16の拠点が有り、東京進出のきっかけになったサンシャイン６０や近年では、国立競技場など、超大型物件の施工にも携わっています。その他、台湾、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、シンガポール等の海外へも進出しています。また、太陽光をはじめ、風力やバイオマス発電などの再エネ事業、ES（エネルギーサービス）事業等、幅広く事業を展開しており、環境経営やダイバシティの推進など、SDGsへの取り組みも積極的に行っています」

松井「先端技術開発についてはどのような取り組みをされていますか？」

徳丸「いろいろな技術開発に取り組んでいますが、２つご紹介したいと思います。まずはドローンの利活用ですね。弊社の工事では、道路が無い谷を越えるようなところで電線や通信ケーブルを敷設する必要が有ります。ドローンが出てくる前は、それこそラジコンで行っていましたが、安価なラジコンでは途中でラジコンが操作できなくなってしまい、実用的ではありませんでした。ドローンを利用できるようになって、この長径間のケーブル敷設は随分楽に出来るようになりました。また、太陽光発電所におけるモジュールの故障検知などにもこのドローンに特殊カメラを付けて利用しています。特殊なカメラでモジュールの表面温度を測定すると、モジュールの1部分だけが高温になっているものが有ります。この異常があるモジュールは故障もしくは発電能力が低下したものが多く、交換することで元の発電性能を維持できることになります」

L is B代表・横井太輔氏「もう１つは？」

徳丸「今年の3月に“脱炭素経営EXPO”に出展した、“AI技術を活用した空調熱源制御最適化システム”になります。脱炭素化に向けて急速なCO2排出量削減への取組みが加速化する中、政府が掲げる2030年温室効果ガス46％削減目標に向けた取り組みの１つとなります。CO２削減実現には、使用エネルギーの多くを占める空調熱源制御をいかに最適化するかが鍵となります。これまで大きな建物における空調熱源制御は、保守メンテナンス担当者が経験と勘に基づきパラメータを調整して行ってきましたが、属人化した技術の継承と後継者不足が課題となっていました。このような背景を踏まえ、弊社の空調に関する技術と人工知能によるシステム開発を行うベンチャー企業との共同開発によって、空調熱源制御最適化システムの開発を共同で進めています。このシステムは、商業施設をたくさん保有されているとある企業の大型店舗3施設での導入を進めており、その実測データを使用した検証を実施し、年間CO2排出量を最大16.3％、年間エネルギーコストを最大 12.5％削減できることをシミュレーション上で確認しています。今年度中には実店舗に試験導入を行う予定にしています」

「L is B presents　現場DX研究所」は毎週月曜20時～20時30分まで文化放送（AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko）で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。日本最大級の音声プラットフォーム「Voicy」でもアーカイブ配信しています。