神戸家裁が「酒鬼薔薇聖斗事件」の全記録を破棄 内藤陽介氏は提言「重大事件の記録はデータ化して保存、活用してもいい」
1997年に神戸市で起きた神戸連続児童殺傷事件において、殺人容疑などで逮捕されて少年審判を受けた当時14歳の加害男性に関する全ての事件記録を、神戸家庭裁判所が廃棄していたことがわかった。10月21日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこのニュースについて、郵便学者の内藤陽介氏と寺島尚正アナウンサーが意見を交わす場面があった。
「少年法が改正されるキッカケになった事件ですから」
廃棄された文書は、少年審判の処分決定書、兵庫県警や神戸地検による加害男性の供述調書、実況見分調書、精神鑑定書など。最高裁判所の規定では資料的価値が高い事件記録の事実上の永久保存を義務付けており、神戸家裁は「適切ではなかった」とコメントしている。廃棄時期や経緯は不明とのこと。
この少年審判は非公開で、当時は被害者の遺族も傍聴できなかったが、廃棄によって審判の過程を検証することができなくなってしまった。加害男性は事件当時「酒鬼薔薇聖斗」を名乗り、神戸新聞社に犯行声明文を送るなどして注目を集めていた。
内藤氏は、パソコン普及前の事件で膨大な量の記録が紙で保存されていたことが廃棄につながったと推測。今後はデータ化して保存する必要があるのではとコメントした。
「こういう重大事件については歴史的な資料として、後の世代でもいろんな形で検証する人が出てくると思うんですね。例えば事件から50年経ったら公開して誰でも閲覧できるようにするとか、アーカイブとして整理保存、活用の仕方を考えてもいいんじゃないでしょうか」(内藤氏)
最高裁の事件記録等保存規定によると、少年事件に関する捜査書類などは少年が26歳になるまで保存するように定めている。ただし、資料や参考資料となるべきものは、保存期間が満了した後も保存しなければいけない。
「少年法が改正されるキッカケになった事件ですから、当然その法律の制定過程としても重要な資料として残さないといけないんですよ。重大事件については最初から最高裁が特別保存として指定するなどしておけばよかったと思います」(内藤氏)
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