ネットで販路拡大。ITが苦手な企業でもできることとは?『長尾一洋 ラジオde経営塾』10月10日(月)放送
約9,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答。
今回は中小企業で役員をおつとめの方からのご相談。「ネットでの販路拡大について、誰に相談したらいいかもわからなくて…」というお悩みに、長尾社長はどのようにアドバイスしたのでしょうか。その一部をご紹介します!
※全編をお聞きになりたい方はこちら!radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。
■銀行の担当者にネット活用を提案されたけれど…
ご相談者はラジオネーム”ふじしまライダー”さん。
『いつも番組を聞かせていただいております。
番組に相談を持ち込むのは勇気がいりますが、恥を忍んで長尾先生のお考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。』
…とても遠慮がちにはじまったご相談。
長尾社長:そんなこと言わずに(笑)。どうぞどんどんご相談ください!
『中堅のサッシ・ガラス販売業です(業界が狭いので社名は控えます⋯)。
今までゼネコンや工務店などの下請け業務等を中心に行ってきましたが、将来に向けて、消費者向けの新しい販路を開拓したいと思っています。
銀行の営業担当者から「ネットを使ってみては」と提案を受けました。
しかし自社はあまりITが得意とは言えず、正直不安が大きいです。
また、どうやってネットを使って消費者をつかまえたらいいのか、詳しくない分野だけにわからないことが多く、ネットでの売り方、商品の見せ方からITの仕掛けまで、情報はたくさんありますが、誰にどう頼めばいいのか専門家を見極める力さえありません。
どうやって選定ていけばいいのでしょうか。おそらく世のなかの中小企業はこの程度です。』
■まず苦手意識を捨て「やる」決意を
長尾社長:「DXとか言ったってできないんだ!」とヒシヒシと伝わってくるんですけども、まずはその意識を捨てていただくことですね。
もう苦手と言っている場合じゃないんで、苦手だろうがなんだろうが「やろう!」と決意していただくことからだと思います。
苦手でも、やるしかないという長尾社長。
「やろう!」と決意した際の具体的な取り掛かり方についても、アドバイスがありました。
長尾社長:文面だけなので、(ITの苦手加減が)どの程度かはわからないんですけども…。
例えば、消費者を相手にするなら必須なのはHP。手始めにそこが整備されているのか。
紙の会社案内をWEB上にあげたようなHPではなく、そこから問い合わせができたり、実際に自社のサービスや売り物が見られるとか、仕掛けが必要だろうと思います。
それから最近はSNS。InstagramやTwitterとか。動画ならYouTubeやTikTokもあります。
みんな、そのへんの素人がやっているわけですから、システムやらITやらの手前の話。「やる気になったらできるでしょ?」ということなんです。
苦手とばかり言っていると、そういうこともついつい先延ばしになりがちです。
意識を変えていただくのがまず非常に重要かなと思います。
■ネットに乗り出すならアピールするものが必要
ネットで販路拡大。とかく良いことに聞こえるけれど、ちょっと気をつけたい部分もあると長尾社長は言います。
長尾社長:今回は銀行の担当者から勧められたとのこと。言うのは簡単だけど…。
例えば商店街に近所の人たちが利用するサッシ屋さんがあったとします。
ネットに乗るのは、商店街から巨大ショッピングモールに出店する、みたいなこと。同業のお店もたくさんあるような場所に。
集客もあるから人も来る、だけど競争がある。大袈裟に言えば世界進出です。今やっていることは本当に巨大ショッピングモールで通用するんですか?と。
近所の商店街なら「サッシならあそこに行くしかない」と愛用されても、巨大ショッピングモールでは大手リフォーム会社、その窓口、FCなどもあり、地元の業者でも小洒落た店舗の競合がある。その横に自社が出店した時にどれだけアピールできるんですか?と。
今やっていることをただネットに乗せたらうまく行くというものではないんですよね。
■巨大ショッピングモールで選ばれる独自性
現在と同じ仕事のやり方でネットに乗り出しても、うまく行くとは限らないという長尾社長。
それでは、ネットで選ばれるためには何が必要なのでしょうか。
長尾社長:厳しい言い方をすると「まず、アピールするものはあるんですか?」ということ。
今までゼネコンさんや工務店さんのお仕事をされて、当然プロの技術や実績はおありでしょう。しかしそれは日本中に同じことをやる業者さんがいるわけです。
巨大ショッピングモールの中でご相談者さんの会社にお願いするのは、やはり理由が要るんです。
他には無い独自のサービス、独自の工夫、独自のデザインとかでもいいですね。そういったものがまず先で、それをどう売るかはその次。
「どう売るか」は、別にITとかシステムとか大きな話じゃなくても、SNSとかでもちょっとずつできるわけですよね。そういうふうに考えたらいいと思います。
■外注先探しは既存の付き合いを活用すべし!
番組MCの松尾アナからは「誰に頼めばいいかもわからない」という部分のお悩みについて質問が。
松尾アナ:身近に相談相手がいなくて、誰にどう頼めばいいのかわからないということですが、どうしたらいいでしょうか。
長尾社長:なかなか難しい問題で、中小でデジタル人材がいないとなると外部の業者さんに頼まざるを得ない。
なるべく自分達でやることを考えなければいけないけれど、例えばHPを作るなら安くてうまい業者さんを探すことになる。
今回の場合なら、銀行の担当者さんからアドバイスがあったということなので、逆にその銀行の人に「WEBの制作でいいところないの?」と聞いてみるとかね。
銀行は当然色々な情報を持っていますので。
人に紹介を頼むのも、意外にハードルが高いもの。
アドバイスした張本人である銀行の担当者さんに活躍してもらう案に加え、さらに既存の関係性を活かすちょっとした裏技(?)の指南も。
長尾社長:あと1つ、いくら小規模でもコピー機はオフィスにある会社が多いと思います。その業者さんに相談してみる。
そうするとコピーの商売がベースにあるので、無下にはされないですよね。そういう既存のお付き合いがあるところに乗っけて行って、相談してみるというのがいいのではないかと思いますね。
■「DXは全部おまかせ!」には気をつけよう
さらに松尾アナから、最近よく目にする「DX全部おまかせ」系広告について質問が飛び出しました。
松尾アナ:「会社のDX、全部まるっと引き受けます!」みたいな会社、あるじゃないですか?そういうところに思い切って発注しちゃうのはどうでしょうか。
長尾社長:それはよろしくなく。
「まるっとなんでもかんでもできます!」なんて業者は基本無いと思った方がいいですね。
特に中小企業にそんな業者が来ることは無いので、当然、中抜きされて下請けに投げられる、と。ご相談者さんは建設関係におられるので下請け構造はよくお分かりと思います。
なるべくそういうのが無い業者さんを探して行く、と。
■『ふじしまライダー』さんへの回答まとめ
・苦手意識を捨て「やろう!」と決意するべし。
・HPを整備しよう。ただの会社案内ではなく、サービスや商品につなぐ仕掛けを。
・SNSを活用。ITへの苦手意識が強いと、身近なSNSも先延ばしになりがち。
・ネットは集客もあるが競争も激しい。売り方の工夫より、独自のアピールポイントを作るのが先。
・HP制作などの業者を探すなら、銀行の担当者やコピー機の会社など既存の付き合いをもとにするとスムーズ。
・「DXまるっとおまかせ」系の業者は、中抜きが激しいと心得るべし!
■長尾社長へのご相談を募集中!
『長尾一洋 ラジオde経営塾』では、パーソナリティ長尾一洋へのご相談やメッセージを募集しています。お仕事のお悩みや、経営戦略、店舗経営のご相談などに長尾一洋が番組内でじっくりご回答いたします。
【投稿フォームはこちら】
https://form.run/@joqr-keiei
【番組情報はTwitterアカウントからも発信しています】
@keiei916
皆様のフォローをお待ちしております!
※番組内のビジネス相談部分はPodcastでも配信中!今までの相談をまとめて聴きたい方にもおすすめです。