値上げの秋、元日銀審議員の片岡氏が日本企業に賃上げ要求「マインドを変えないとガラパゴスになちゃう」
9月30日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)は、懐かしい人物、元日本銀行審議員でPwCコンサルティングのチーフエコノミスト、片岡剛士氏が金曜コメンテーターとして登場した。片岡氏は日銀審議員に抜擢された5年前、寺島尚正アナウンサーとお別れもできずに番組のコメンテーターを降板していた。きょうはまず当時の話ではじまり、止まらない物価上昇へと話題が広がった。
止まらない価格高騰 10月に6500品目超が値上げ
明日から10月。暮らしに関わる制度や価格に変更がある。損害保険大手は災害の多発を踏まえて住宅向けの火災保険料を11~13%引き上げる。また、タバコ税率が引き上げられ、加熱式タバコの一部商品が1箱10~20円値上げ。さらに原材料価格の上昇でハムやビールなど飲食料の値上げが6500品目を超えるといわれている。
物価上昇が続くことに、片岡氏は「困ったものなんですけど、諸外国に比べれば値上げ幅がまだ小さい。値上げの痛みを是正するには所得が増えなければいけないので、価格転嫁の流れと、それを可能にする経済状況というのを政府、日銀、民間のみんなの力で乗り越えていくことが大事だと思います」と、所得を増やす必要性を指摘した。
「賃金が追いついていない状況を、どう補填するかということですね」と寺島アナ。
「これは政府のリーダーシップが必要だと思います。賃上げすることが当然だと、企業の社会的な責任ということで『是が非でもやらなければならない』という意識を大企業から中小企業まで、いろんな形で広げていくことがとても大事です。
日本企業は過去20年間、人材への投資をしてこなかったうえに、賃金という形で労働者に報いることをしてこなかったんですね。その代わり競争過多のところで価格を下げたり、同じような製品を作っては『なかなか売れないから大変だ』と人件費を削減したりするという悪循環をずうっと続けていたので、この流れを断ち切らないといけません。
海外経済の中でインフレ圧力が強まっていますから、こういうマインドを変える絶好のチャンスというか、変えないと日本企業は本当の意味でガラパゴスになっちゃうと思います」と、片岡氏は日本企業の旧態依然とした悪習に対して警鐘を鳴らした。
寺島アナは「6500品を超える値上げですから、カツカツで生活している人にとっては本当に痛いですからね。海外なんか見ると消費税も一律10%じゃなくて、品目によっては(税率が)ものすごく低いものがあって、ヨーロッパではそれが当たり前になってますよね。『今一番大事なのは消費税減税だ』なんて声は大きくなってきてますけどね」と、他国の施策を例に出して消費税減税を訴えた。
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