サル痘を通して考える感染症流行初期との向き合い方
7月29日放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部(文化放送)」。
本日は女装パフォーマーのブルボンヌが体調不良で欠席となったため、ノンフィクションライターの石戸諭と西川あやのが「サル痘を通して考える感染症流行初期との向き合い方」についてトークを繰り広げた。
「きょうのクリエイティ部」では、「サル痘を通して考える感染症流行初期との向き合い方」について取り上げた。
感染が再拡大する「新型コロナウイルス」や、国内でも感染者が確認された「サル痘」など感染症に関するニュースが連日報道されている。
メディアやインターネットには膨大な情報があり、何を信じれば良いのかわからないという方もいるのではないか。
今回、多すぎるが故に、不安を煽ってしまう情報を私達はどう受け取り、向き合うべきかを考えた。
石戸「感染症初期ってとにかくみんなの言っていることがコロコロ変わるんです。確定的なことも言えないし、色んな仮説が出てくるんです。だけど僕たちはそうした“わからなさに耐える”ことが苦手で、“わからなさを減らして何となく安心したい”と思うんです。」
石戸「だけど、そんな時だからこそ、ちょっと落ち着いて考えていくプロセスを大事にしてほしいです。」
サル痘は、1970年に現在のコンゴ共和国で人への感染が初めて確認され、現在も中央アフリカから西アフリカにかけて流行している。今年5月以降にはサル痘が流行している国に渡航歴のない感染者が、ヨーロッパやアメリカなどで確認され、世界保健機関は今月23日、サル痘の流行拡大について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
今回、感染対策ラボ代表で、国立感染症研究所協力研究員の堀成美さんにお話を伺った。
例えば、「報道する際の適切な発信方法」について…
堀「(サル痘は男性同士の性的接触、あるいは濃厚な接触をした人の症例が多いとされることを踏まえ)一番良くないのは偏見差別だから“誰でも移る可能性があるんだ”と全く違う情報を流すことが一番問題だと思う。情報をぼやかさないで、安全でいて頂くための情報発信や、予算を使うという手厚いケアの方に向けていくのが社会のためだと思います。感染症って相談が遅れると広がるので、安心して病院に行って治療ができることが大事だと思います。」
堀「“偏見差別が良くないから、感染症の情報を変える”ということではないと思います。逆に“なんで同性とセックスする人に、私達は特別な反応をしちゃうんだろうね?”ってみんなが考えるいい機会にして欲しいです。ネガティブな反応をしないような社会になることが学びだと思います。日本なんか余裕で対応できる感染症だと思いますので、バタバタして失敗しない方がいいんじゃないかな。というのが今の時点での重要なことです。」
石戸「結局“何で感染したんですか?”っていうことに関して、性交渉があるということはわかっているから、“単純な接触や飛沫感染といってもコロナのような感染ではないよ”ということと、“感染経路などの情報はぼやかしちゃいけないんだ”ということです。」
同性での性的接触での感染経路が多いことに関して、本日体調不良によりスタジオを欠席しているブルボンヌからのコメントも寄せられた。
ブルボンヌ「日本で感染者が確認された第一報以降、既にニュースコメントなどに偏見に近い反応も見られ、“80年代のエイズの時の様だ”という声も出ています。当時も含め、こういうことが起こると、元々同性愛に否定的な人をはじめ、ひどい場合は天罰だというような言葉まで発せられました。しかし、HIVや、サル痘も人間の性的嗜好を選んでいるわけではありません。」
ブルボンヌ「属性ではなく、接触内容でこそウイルスは感染します。必要以上に怖がることも、属性に押し付けて、“自分は普通だから関係ない”とすることも、どちらもHIVのときに誰も得しない結果を生んでいます。冷静な判断ができる方が少しでも増え、人々が傷つけ合わないで済むことを願っております。」
このコーナーでは、感染対策ラボ代表で国立感染症研究所協力研究員の堀成美さんが「感染経路」や「サル痘はどの程度の危険性があるのか」「どう予防するべきなのか」についてもお話ししています。気になる方はradikoのタイムフリー機能でぜひお聴きください。
「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜〜金曜の午後3時30分〜5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6kHz、radiko)で放送中。また、radikoのタイムフリー機能では1週間後まで聴取できます。
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