東京電力旧経営陣に賠償金13兆円の判決 藤井聡氏「天文学的な責任を個人に負わせるべきではない」
東京地裁は7月13日、東京電力福島第1原発事故をめぐり、東京電力の旧経営陣4人に対して13兆3210億円の支払いを命じる判決を言い渡した。7月14日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこのニュースが取り上げられ、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏が寺島アナに自身の見解を示す場面があった。
「国家が個人に負わせないのが、本来の政府の在り方」
この裁判は原発事故の翌年に株主48人が起こした株主代表訴訟。旧経営陣の賠償責任を認める判決は初めてだ。13兆円もの巨額賠償金は、日本の裁判所が命じた賠償金の過去最高額とみられる。
原発事故の被災者などによる集団訴訟において、最高裁は「国が東京電力に対策を取らせても事故は避けられなかった」と判決を下している。しかし今回の東京地裁判決は「東京電力が適切な対応を取れば事故は避けられた可能性がある」「原子力事業者、取締役として求められている安全意識や責任感が根本的に欠如していたものと言わざるを得ない」と批判した。
藤井氏は、取締役の責任を認めた裁判所を評価する一方、東京電力にのみ大きな責任を追わせることに疑問を呈した。
「このくらいの緊張感を持って原発の運営や防災に取り組まないといけないですから、不作為は罪になることを防災・国土強靭化担当者にはぜひ理解してもらいたい。しかし、この責任を誰が取るのかという時に、国には責任はないけれど民間企業にはあるんだという格好に司法全体がなっていますから、それについては大きな問題があると」(藤井氏)
さらに藤井氏は、巨額の賠償金額が一般的な個人の責任範囲を超えていることも指摘した。
「実際、この13兆なにがしというのが、一般的な個人の責任範囲を超えていて、それを個人に負わせていることになりますよね。それだけ巨大で天文学的な責任を、一個人に日本国は押し付けているわけで、日本の原発行政の在り方そのものの巨大な矛盾を示す数字だと思います」(藤井氏)
そして「これだけ大きな責任が発生するものを、国家が個人に負わせないのが本来の政府の在り方。国家として真摯に反省するべき」と、国の責任の取り方を強く批判した。
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