熱海市の大規模土石流災害 残った盛土を管理する不動産会社に安全措置命令
6月2日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)は、2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模土石流に関するニュースについて、寺島尚正アナウンサーが木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏に意見を求めた。
藤井氏「公務員を増やしておけば、もっと細かく指導できた」
2021年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の起点に残った盛土について、熱海市は2011年まで起点の土地を所有し、盛土造成を市に届け出た神奈川県小田原市の不動産管理会社に対して、安全対策を講じるよう求める措置命令を5月31日付で出した。
起点の土地をめぐっては、熱海市が盛土崩落の危険があるとして2009年と2011年に措置命令の発令を検討していたことが判明している。安全対策工事が始まったことなどを理由に最終的な発令を見送っており、この土地への命令は初めて。2022年3月には、静岡県が起点に残った盛土は大雨が降ると崩れ落ちる可能性があるとの調査結果を公表。熱海市がこの不動産管理会社を行政指導したが、是正されなかったため、今回の措置命令に踏み切った。
藤井氏は「この業者、ダメですね」と、バッサリ。「熱海市としても一定の命令を出しているわけですからね」と、不動産管理会社に「甘さ」があることを指摘。加えて、公務員数の少なさやプライマリーバランス(国の財政収支の歳入と過去の借入金以外の歳出の均衡具合)規律の問題があることにも言及した。
政府は財政収支の赤字が拡大しない、さらには黒字転換するようにというプライマリーバランス規律を守ることを決めている。藤井氏は、「こういう対策のためにも、公務員を増やしておけば、もっと細かく指導できたのではないかと思います。そのためには政府支出が必要になり、プライマリーバランス規律の撤廃が必要ということになるんですよね」と、持論を展開。行政にも注文を付けた。
「知床観光船遭難事故や防衛費の増強など、あらゆる問題の背後にはプライマリーバランス規律の弊害が出ています。身体中から血が噴き出しているような状況です」と、藤井氏はプライマリーバランス規律の撤廃を強く訴えた。
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